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アクティブラーニングとは
アクティブラーニングとは
今回、アクティブラーニングについて調べていくのに当たって、次の本を使っていきます。
協同学習がつくるアクティブ・ラーニング / 杉江修治 【本】
アクティブラーニングの本というと、アクティブラーニング実践者が書いているものが多く、こんな方法で取り組んでいますとか、こんな流れで授業を組み立てていますというようなものばかりで、理論的に、あるいは学問的に扱っているものが少なく感じます。かといって難しそうな本だと面白くありません。
この本は、「協同学習」の実践的な研究をもとに書かれている本です。著者の杉江修治氏は教育心理学者でもあります。
教育心理学の立場から書かれているアクティブラーニングの本を読んでみたいと、ずっと思っていました。この本はそんなに厚すぎない手ごろな本なので、読んでいくのが楽しみです。出版されたのは2016年11月です。
アクティブラーニングを理解する
アクティブラーニングを理解する
アクティブラーニングの、文部科学省による定義です。
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申) (平成24年8月28日)用語集より
筆者は、これまで学習指導要領の改定などによって教育の新しい考え方が示されたとき、教育現場は何をしたらよいかという迷いや、どのように進めていけばよいかということに気持ちが行ってしまっていたと言います。
例えば、「総合的な学習の時間」が学習指導要領に入ってきたときは、体験学習に気持ちが行ってしまい、何を体験させるかということに重点が置かれてしまったというのです。
しかし、文部科学省がずっと示してきたのは、児童生徒の「学力を育成すること」なのです。
1989年の学習指導要領改訂以来、文部科学省が示してきたことは、「新学力観」です。
「基礎的・基本的な知識及び技能」を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な「思考力,判断力,表現力等を育む」とともに,「主体的に学習に取り組む態度を養い」,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。
なのです。
要点をとりだすと、
①「基礎的・基本的な知識及び技能」を確実に習得させる
②「思考力,判断力,表現力等」を育む
③「主体的に学習に取り組む態度」を養う
この3つが「新学力観」であり、学校教育で育まれるべき学力だとしてきたのです。
アクティブラーニングは、それを実現するための考え方と仕掛けという位置づけなのです。
「めざす学力こそが目標であって、子どもが動くことが目標ではないのです。」と筆者は述べています。
繰り返します。学力こそが目標であって、アクティブラーニングをすることが目標ではないのです。
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アクティブラーニングの目的を深堀りする
アクティブラーニングの目的を深堀りする
平成30年に次期学習指導要領が告示されるまでに、中教審等でいろいろな議論がされてきました。
・高大接続
・新テスト(大学入学共通テスト)
・アクティブラーニング
これらの議論に、私たちは相当振り回されました。高大接続はおおかたの構想はとりあえずストップしました。ただし、いつかまた復活するかもしれません。大学入学共通テストも、記述式の問題はなくなりました。名称はセンター試験に代わり、「大学入学共通テスト」になるようです。
これまで議論されてきたアクティブラーニングは、「課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学習・指導方法であるアクティブラーニングへの飛躍的充実を図る。」とされ、アクティブラーニングをしなければならないというような圧力的な表現でした。
最近はだいぶトーンは落ちてきました。あおられておこなう見かけだけのアクティブラーニングに辟易していました。しかし、これからが本当のアクティブラーニングの登場するときではないでしょうか。
筆者は次のように書いています。
「何のために勉強するの?」と子どもに問われたとき、「それはあなたのため」としか答えられない大人では困ります。何のために勉強するのか、それは自分自身の成長可能性に挑戦するため、そして社会貢献するためなのです。」
わたしは、何のために勉強するのか?という問いには、「自分のやりたいことを実現するため」であると考えます。ただし、自己中心的な考えではありませんので注意してください。
もちろん社会貢献だって、自分がやりたいことが社会貢献であればこれに含まれます。社会貢献は、強制されたり圧力をかけられたりしてするものではありません。自然に行いたいものです。
まとめ
まとめ
アクティブラーニングは、
①「基礎的・基本的な知識及び技能」
②「思考力,判断力,表現力等」
③「主体的に学習に取り組む態度」
これらの「学力」をはぐくむことが目標である。
高大接続についてはもっと書きたいことがありますが、別の機会に。
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