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争議行為とは何か?
労働関係調整法7条
争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう。
労働者側では「ストライキ」「サボタージュ」「ボイコット」「ピケット」「残業拒否」「休暇闘争」「職場選挙」などがある。
使用者側では「ロックアウト」などがある。
ピケットとは、労働争議の際、スト破りを防ぐために、労働者側が事業所の入り口などに見張りを立てること。また、その見張り人。
それ以外のカタカナ語は、自分で調べてみてください。
また、地方公務員法には、次のようにあります。
地方公務員法37条(争議行為等の禁止)
1 職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して、同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、またはその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。
つまり、公務員の争議行為は「禁止」されているのです。
地方公務員である「教員」にも適用され、教員の同盟罷業(ストライキ)、怠業(サボタージュ)等の争議行為は禁止されています。
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争議権は日本国憲法の労働基本権で保障されているのではないのか?
日本国憲法28条(勤労者の団結権及び団体行動権)
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
団結権、団体交渉権と並んで、「その他の団体行動をする権利」というものがあります。これが「団体行動権」です。
「団体行動権」の内容は、労働組合の「争議行為」という団体行動をする権利、すなわち「争議権」を意味しています。最近では、争議行為に限らずビラ貼りなどの組合活動の権利も含みます。
公務員も勤労者として、労働基本権の保障を受けますが、地方公務員法37条は、憲法28条に違反しないのでしょうか?
これについては次のような判例があるので、注意しましょう。
○公務員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、かつ、職務の執行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない性質のものであるから、団結権、団体交渉権等についても一般に勤労者とは違って特別の取扱を受けることがあるのは当然であり、公務員の争議行為の禁止は憲法第28条に違反しない。(昭和28.4.8最高裁判決)
○公務員も憲法28条にいう勤労者にほかならず、憲法15条を根拠として労働基本権をすべて否定することは許されない。ただ国民生活全体の利益の保障という見地から私企業労働者と異なる制約を内包しているのである。(昭和41.10.26最高裁判決)
○憲法28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、この労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が目的とされる絶対的なものではないから、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れない。
○公務員の従事する職務には公共性がある一方、法律によりその主要な勤務条件が定められ、身分が保障されているほか、適切な代償措置が講じられているのであるから、国家公務員法98条2項が公務員の争議行為及びそのあおり行為を禁止するのは、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からするやむをえない制約であり、憲法28条に違反するものではない。
○公務員については、経済目的に出たものであると、はたまた、政治目的に出たものであることを問わず、国家公務員法上許容された争議行為なるものが存在するとすることは是認できない。
(以上3つは昭和48.4.25あおり事件最高裁判決)
○地方公務員も憲法28条にいう勤労者であるが、その労働基本権は、国家公務員の場合と同様に、地方公務員を含む地方住民全体ないし国民全体の共同利益のため、これと調和するよう制限されることもやむを得ない。そして、地公法上設けられた代償措置は、制度上右制限に見合うものとしての一般的要件を備えていると認められる。それ故、地公法37条1項は、憲法28条に違反しない。(昭和51.5.12最高裁判決)
以上のように、「争議行為の禁止」は憲法28条に違反しないということなのですよ。
日本国憲法28条がそのまま該当するのは、民間労働者についてであって、地方公務員については一定の制約があるのですね。
次回は地方公務員の争議行為が禁止される3つの理由についてまとめてみます。
つづく
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