「読解力」をカリキュラムに位置付ける

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「読解力」でカリキュラム・マネジメント

「読解力」でカリキュラム・マネジメント

 

さて、いよいよ最終段階です。

 

「読解力」をつけるカリキュラムを構想していきます。

 

今回もこの本からの抜粋です。

 

「読解力」とは何か〈Part2〉カリキュラム・マネジメントで年間指導計画・学習プロセス重視の指導案

 

PISA調査における「読解力」の低下が問題となった。この「読解力」はいわゆる国語の読解力ではなく、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」と定義されている。

 

この「読解力」とは、一つの教科だけで育成されるものではなく、教科や総合的な学習の時間を通して身に付けられる総合的な学力ととらえられる。「読解力」を身に付けさせるためには、「読解力」を核とした各教科や総合的な学習の時間におけるカリキュラム・マネジメントという発想が必要になる。

 

「読解力」をカリキュラムに位置付ける

全教科で「読解力」を身に付けるには

全教科で「読解力」を身に付けるには

 

各教科で「読解力」を身に付けるには、各教科の目標を達成する中で行っていくことを考える必要がある。つまり、「読解力」を各教科において、どのようにとらえ位置付けるかが問われるのである。

 

たとえば「テキスト」のとらえについても教科によって違う。「読解力」を育成する段階では、理科でいえば書かれたテキストのみならず、自然の事物・現象も対象としなければ理科の授業とはいえなくなる。そこで本稿では、理科でいう自然の事物・現象などを「その他のテキスト」として位置づけ、「読解力」育成を図ることにした。

 

こうした各教科における「読解力」の違いを交流することが、指導者間の「読解力」についての理解をさらに深め、各教科で「読解力」を育成する必要性を再認識することにつながる。

 

「読解力」をカリキュラムに位置付ける

 

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生徒の「読解力」の現状からカリキュラムを構想する

生徒の「読解力」の現状からカリキュラムを構想する

 

はじめに生徒の「読解力」の現状を把握し、「読解力」育成のカリキュラムを構想する必要がある。

 

生徒の学習状況の上に、現在の学習指導要領の指導自校の網をかぶせる。そして、その上に「読解力」という網をかぶせてみる。そうすると、重なる部分もあるし、重ならない部分も出る。重なる部分については、これまでの指導を継続させてさらに充実した学習を目指す。重ならない部分は生徒たちに身に付いていない能力といえる。各教科の特性を生かして対応できるものについて、新たな教材や指導法・評価法を開発して取り組むことが必要となる。また、「読解力」という網をかぶせることで、各教科において、生徒たちに今後どのような能力を身に付けさせたらよいのかという方策も見えてくる。

 

このように「読解力」育成を図るには、全く新たな取り組みと考える必要はない。また、「読解力」育成を意識した指導が大切となる。

 

「読解力」をカリキュラムに位置付ける

「読解力」育成の7つのねらいに即したカリキュラム開発

「読解力」育成の7つのねらいに即したカリキュラム開発

 

次に生徒の「読解力」の現状分析を基に、各教科における「読解力」育成の具体的な指導内容を明らかにする必要がある。その際、文部科学省「読解力向上に関する指導資料」にある「読解力」育成の7つの能力に即してカリキュラム開発を行う。そのときの手順と留意点を次にまとめた。

 

① 各教科において、その7つの能力すべてを育成する必要はない。各教科の特性に応じて、育成できる能力を考える。

 

② 各教科において、育成できる能力に即した具体的な指導内容を学年ごとに挙げる。

 

③ 具体的な指導内容を考えるとき、二つの側面がある。それは、特定の教材・題材を用いて指導する方法と一定の学習形態として年間を通して指導する方法の二つである。

 

④ 各教科から挙げられた指導内容を学年ごとに一覧表にする。

 

⑤ 作成した一覧表から、教科を超えて横断的に指導できるものを整理する。

 

⑥ 指導と評価の一体化から、指導改善を図り、一覧表も修正していく。

 

「読解力」をカリキュラムに位置付ける

 

次頁以降に、その一覧表を掲載してある。次に「読解力」育成の7つの能力を挙げておく。

 

ア テキストを理解・評価しながら読む力を高めること
 (ア)目的に応じて理解し、解釈する能力
 (イ)評価しながら読む能力
 (ウ)課題に即応した読む能力

 

イ テキストに基づいて自分の考えを書く力を高めること
 (ア)テキストを利用して自分の考えを表現する能力
 (イ)日常的・実用的な言語活動に生かす能力

 

ウ 様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする機会を充実すること
 (ア)多様なテキストに対応した読む能力
 (イ)自分の感じたことや考えたことを簡潔に表現する能力

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