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臨時的任用の定義とは?
臨時的任用について、いまひとつ不明瞭なところもあるので、本県の条例などをもう少し読んでみて、わかったことをまとめてみました。
言葉の定義なども、本県と他県では異なるかもしれませんが、とにかく調べて出てきたものを書き出してみます。
条例や規則のうち、「本県の」とあるのは、実際は「○○県の」となっているものです。
一般職に限らず、教育委員会関係のものもあります。
臨時的任用の定義とは?
高等学校における臨時的任用職員取扱要綱
第1(趣旨)
この要綱は、○○県立の高等学校に勤務する職員が出産、育児その他の事由により長期にわたり勤務を欠く場合等における臨時的任用職員の任用等に関して必要な事項を定めるものとする。
ただし、高等学校において非常勤職員等の任用が適当である場合には、この要綱にかかわらず、非常勤の講師の任用等に関する要綱に基づき任用するものとする。
第2(定義)
この要綱において、臨時的任用職員とは、次の各号により任用される職員をいう。
(1)産休等臨時任用
女子職員が出産する場合又は職員が満3歳に満たない子を養育する場合において、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律(産休法)第3条第1項又は地方公務員の育児休業等に関する法律(育休法)第6条の規定により行う臨時的任用
(2)期限付臨時任用(事務職員及び技術職員を除く。)
地方公務員第22条第2項の規定により行う臨時的任用で、産休等臨時任用以外のもの
この2つの条文によれば、本県では臨時的任用には2種類あることがわかります。
まず「第1」の条文によると、「非常勤職員」は臨時的任用職員ではないことがわかります。
すなわち、学校における臨時的任用職員とは、これまで「常勤講師」と呼んでいたものであるようです。
「第2」の条文によれば、地方公務員法第22条で規定された臨時的任用は、本県では「期限付臨時任用」というものであるようです。
「臨時的任用」と「臨時任用」とでは違いがあるのかどうかについてはわかりません。
産休と育休による臨時的任用は地方公務員法ではない法律によって定められた臨時的任用であることもわかります。
この臨時的任用の違いは、区別しておいたほうがいいのかもしれません。
では次です。
任用期間とは
第3(任用期間)
臨時的任用職員の任用は、1月以上の長期にわたって欠員が生じることが明らかな場合に行うものとし、その任用期間は次の各号に定めるところによる。
(1)産休等臨時任用
産休法による産前・産後の休暇期間又は育休法による育児休業の承認をした期間(延長された場合は、延長された期間を含む。)の範囲内で任用するものとする。
(2)期限付臨時任用
6月を超えない期間を定めて任用するものとし、必要がある場合は、6月を超えない期間で1回限り更新することができるものとする。ただし、更新後において当該勤務を欠く者の休暇又は休職の期間が延長されたときは、更新した期間を含めて6月に達するまで任用期間を延長することができる。
「第3」の条文では、地方公務員法にもあった6月の後の更新は6月まで、という事項がありました。
また、「第1」であった「出産、育児その他の事由」の「その他の事由」とは、「勤務を欠く者の休暇又は休職」によるものであることがわかります。
第4~第6は省略
臨時的任用職員の職名
第7(職名)
教諭、養護教諭、栄養教諭、実習助手、寄宿舎指導員、事務職員又は学校栄養職員の代替として任用された臨時的任用職員の職名は、それぞれ講師、代替養護教諭、代替栄養教諭、代替実習助手、代替寄宿舎指導員、代替事務職員又は代替技術職員とする。
この「第7」もあなたと私にとっては重要かもしれません。というのは、ここには「常勤講師」という職名はないのです。また、それ以外の職に対する臨時的任用の職員には、「代替~」という呼び名が付くのです。
これは、本県で定められた要綱ですから、正式なものです。「常勤講師」というものは存在せず、単に「講師」と呼ぶのです。
では、非常勤講師はどうなのでしょうか?
辞令を見てみましょう。
臨時的任用職員の場合の辞令の文言は、下記のようになります。
「○○県○○高等学校(職名)を命ずる。」
ですから
「○○県○○高等学校(講師)を命ずる。」
とか
「○○県○○高等学校(代替養護教諭)を命ずる。」
となるわけですね。
非常勤講師の場合は、下記のようになります。
「○○県○○学校講師(非常勤)に採用する。
○○県○○立○○学校に勤務を命ずる。」
詳細は省略しますが、ちょっと統一性がないように思えます。
(自分の県なのに文句はいけませんね。)
第8~第13は省略します。
第13には、この要綱の取扱いについて、教育長が定めることが書かれています。
それについてちょっとだけ。
「第1」の「非常勤職員等の任用が適当である場合」とはどのような場合であるか?
これは、
①職員(養護教諭、実習助手及び寄宿舎指導員を除く)が欠けることとなる事由が、病気休暇、介護休暇及び介護欠勤である場合。
②その他教科又は授業時間数の関係から非常勤職員等の任用がより適切である場合。
なのだそうです。
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任期付採用と期限付臨時任用の違いとは?
さて、ここまで調べてきましたが、まだ「もやもや」したところがあります。(もやもや病か?)
それは、「任期付採用」と呼ばれるものと、本県の「期限付臨時任用」とはどう違うのか、ということです。
任期付き採用とは?
スッキリわかる!地方公務員法のきほん【電子書籍】[ 武田正孝 ]によれば、次の特別法により、3つの「任期付採用」が定められているのだそうです。
1 地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律
2 地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律
3 地方公務員の育児休業等に関する法律
このうち、「1」は次の3つがあります。
①専門的な知識経験に着目するもの
②時限的な業務に対応するもの
③短時間勤務職員に係るもの
これらは教職員とはあまり関わりがないかもしれませんが、①は任期が最長5年であり、②と③は任期が最長3年なのだそうです。
「2」も、研究員ですから教職員とはあまり関わりなく、任期は3年から5年のようです。
「3」の「地方公務員の育児休業等に関する法律」は教職員と大いに関係がありますね。
育児休業をする職員の代替要員として、育児休業が承認されたり延長されたりする期間を任期の限度とするものです。
または、育児短時間勤務に伴う短時間勤務職員の任用です。
そうすると、任期は1~3年や5年というところでしょうか。
こちらは職員の子が小学校就学の始期に達するまでの勤務について、育児短時間勤務をする場合に採用される任期付職員です。
なるほど、任期付採用は任期の期間が1年とは限らず、結構長いのですね。
臨時的任用は、当初の6月と更新後6月で、1年を超えてはならないのでした。
でも、「地方公務員の育児休業等に関する法律」の第6条第6項には次のようにあるのですよ。
6 第1項の規定に基づき、臨時的任用を行う場合には、地方公務員法第22条第2項から第5項までの規定は適用しない。
地方公務員法のここの条文には、6月の任用期間と、6月の更新期間のことが書いてあるのですよ。
それを適用しないということなのかなあ。
これについては後で調べてみることにします。
では、続いて「臨時職員」と「非常勤職員」について調べてみます。
でも、長くなったので次回にします。
つづく
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