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あらためて職務専念義務とは?
職務に専念する義務とは
公務員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために与えられた職務を執行する義務(職務執行義務)を負っています。
また、職務を遂行するに当たっては、全力を挙げてこれに専念することが要請されます。(職務服従義務)
この2つは、服務の根本基準(第30条)にあったことですね。
そこで次の条文です。
地方公務員法第35条(職務に専念する義務)
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
この条文は、服務の根本基準の趣旨を具体化したものであり、法律又は条例に特別の定がある場合のほか、職員は、勤務時間中、職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、地方公共団体がなすべき責めを有する職務にのみ従事しなければなりません。
ここでいう「職員が行うべき職務」とは、職員に割り当てられた職務のことをいいます。
それは、地方公共団体がなすべき責を有する事務のうち、法令や当該地方公共団体の内部規定によって定められた職務命令等によって、割り当てられた職務です。
そして、
「職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いる」
ということは、
「全力を上げて職務に専念しなければならない」
と定める第30条の服務の根本基準を反復した文言であるといえます。
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職務専念義務の免除とは?
職務専念義務の免除とは?
職務専念義務は、法律等に特別の定めがある場合に限り、免除されます。
そこでどんな場合があるか調べました。
(1)法律に基づく場合
1 休職(地方公務員法第28条)
休職者は、職は保持していますが、職務に従事させません。分限処分による休職は「強制的な」職務専念義務の免除となります。
2 停職(地方公務員法第29条・懲戒)
これも職は保持していますが、職務に従事させません。休職と同じく、「強制的な」職務専念義務の免除です。
3 在籍専従の許可(地方公務員法第55条の2)
職員が任命権者の許可を受けて登録を受けた職員団体・労働組合への役員として専従するときは、休職者として扱い、給与も支給されません。
4 適法な交渉への参加(地方公務員法第55条第8項)
勤務時間中の適法な交渉のために、在籍専従職員以外が出席するときは、職務専念義務の免除となります。
5 病者の就業禁止(労働安全衛生法第68条)
伝染病の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければなりません。
これも伝染病を予防するための「強制的な」職務専念義務の免除です。
6 育児休業・育児短時間勤務・部分休業(地方公務員の育児休業等に関する法律)
3歳に満たない子を養育する職員は、育児休業または部分休業をすることができます。
(育児短時間勤務・部分休業は小学校就学の始期まで)
7 自己啓発等休業(地方公務員法第26条の5)
職員の公務に関する能力の向上のため、3年以内の期間、大学、国際協力のための休業ができる制度です。ただし給与は支給されません。
8 配偶者同行休業(地方公務員法第26条の6)
配偶者が外国での勤務などにより外国に住所又は居住地を定めて滞在する場合、公務に支障がないと認めるときは、3年以内の期間、退職せずに配偶者に同行できる制度です。ただし給与は支給されません。
7と8は、条文に「条例に定めるところにより」という文言が入っています。
9 修学部分休業(地方公務員法第26条の2)
10 高齢者部分休業(地方公務員法第26条の3)
(2)条例に基づく場合
1 職員の勤務時間、休暇等に関する条例に基づく場合
条例で定められた「週休日」「週休日の振替」「休日」「代休日」「休暇」「休憩」などは職務専念義務が免除されます。
地方公務員法第24条によって「条例で定める」とされているものです。
本県では、条例の第1条にそのことが書かれています。
また、「休暇」には4つありましたね。
1 年次有給休暇
2 病気休暇
3 特別休暇・・・これは本当にたくさんあります。
4 介護休暇
2 職務専念義務の免除に関する条例に基づく場合
本県では、「職務に専念する義務の特例に関する条例」という名称です。
第1条には「地方公務員法第35条の規定に基づき」とあります。
内容は、
1 研修を受ける場合
2 厚生に関する計画の実施に参加する場合
3 前各号に掲げる場合を除くほか、人事委員会が定める場合
です。
まとめ
職専免に関しては、過去の記事もとても参考になります。
職務専念義務とは?職専免とは?|職免・義務免ともいいますが。
「職専免」で検索すると、この記事が第1位に出てくるんですよ。
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