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懲戒処分の種類とは何か?
懲戒処分とは、公務員としての義務違反、公務員としてふさわしくない非行がある場合に、その責任を確認して科される制裁です。
言い換えれば、職員に一定の義務違反がある場合に、その道義的責任を追及し、公務員関係の秩序を維持するために行われる制裁的な処分です。
懲戒処分も、職員に対する不利益処分です。
懲戒処分の種類は、次の4種類です。重い処分から順に、
免職、停職、減給、戒告
です。
免職とは?
公務員の身分を失わせるものです。
懲戒免職の場合は、分限免職と違って、退職金の全部又は一部が支給されず、年金も減額されます。
分限免職はこのような不利益はありませんね。
停職とは?
身分を保有させながら、職に従事させないものです。
職務に従事させないという点では、分限処分の休職と同様ですが、処分の目的が違います。
分限処分の場合の目的は、公務能率の維持にありますが、懲戒処分の場合は、職員の道義的責任を追及するための制裁です。
また、分限処分の休職は給与の全部又は一部が支給されますが、懲戒処分の停職は給与が支給されません。
減給とは?
一定期間給与の支給額を減ずることです。
分限処分の降給も、給料が減額されますが、これは給料の基本額そのものを変更するものであるのに対して、減給は、基本額を変更しない一時的な減額で、一定の期間が経過すると、もとの給料額に戻ります。
戒告とは?
行為を戒める旨の申し渡しをすることです。将来を戒める処分です。
また、戒告に至らないような軽微な義務違反については、訓告、口頭注意などが行われます。
ただし、これらの処分については、特に決まりはなく、各地方公共団体によって対応はいろいろあります。
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懲戒処分の事由とは?
懲戒処分の事由とは?
懲戒処分の事由は3つあります。
1 法令に違反した場合
・地方公務員法第3章第6節の「服務の規程」
・地方公務員法第57条の「特例」。教特法、地教行法、地公労法附則5、地公企法36~39
・地方公務員法、特例法の基く含むに関する条例・規則その他の規程
・上記以外の法令に違反した場合
2 職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合
・地方公務員法第32条「法令及び上司の職務上の命令に従う義務」
・地方公務員法第35条「職務専念義務」
・地方公務員法第30条「服務の根本基準」
3 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合
・地方公務員法第33条「信用失墜行為」
このあたりで、条文を確認します。
地方公務員法第29条(懲戒)
1 職員が次の各号の一(「ひとつ」と読む?)に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体に規則若しくは地方公共団体の機関の定める規定に違反した場合
二 職務法の義務に違反し、又は職務を怠った場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合
2 職員が、任命権者の要請に応じ当該地方公共団体の特別職に属する地方公務員、他の地方公共団体若しくは特定地方独立行政法人の地方公務員、国家公務員又は地方公社(地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社をいう。)その他その業務が地方公共団体若しくは国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち条例で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職地方公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職地方公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職地方公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別地方公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。事項において「要請に応じた退職前の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。
3 職員が、第28条の四第1項又は第28条の五第1項の規定により採用された場合において、定年退職者等となった日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又はこれらの規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に第1項各号の一に該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。
4 職員の懲戒の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。
いやはや
なんとも
地方公務員というのは
条文読んでると
息が詰まりそうですな。
懲戒処分の手続と効果とは?
懲戒処分の手続と効果とは?
懲戒処分の手続と効果は、条例で定めるということなので、条例を見てみました。
懲戒の手続
1 戒告、減給、停職又は懲戒処分としての免職の処分は、その旨を記載した書面を当該職員に交付して行わなければならない。
2 前項の場合において、当該職員に書面を交付することができないときは、その書面に記載された事項を県公報に掲載してその交付に代えることができる。
県公報に掲載するなんて・・・
最近は懲戒免職が多くなってきました。
酒気帯びは停職ですまなくなってきたたからでしょうか。
飲酒運転は絶対にいけませんね。
減給の効果
減給は1日以上1年以下の期間、給料の10分の1を減ずるものとする。
停職の効果
1 停職の期間は、1日以上1年以下とする。
2 停職者は、その職を保有するが、職務に従事しない。
3 停職者は、停職の期間中、いかなる給与も支給されない。
免職と戒告はありませんでした。地方公務員法にあるからでしょうか。
まとめ
懲戒処分について、その他の事項です。
・処分についての不服申し立ては、人事委員会、公平委員会に対して行う。
・懲戒処分は日付をさかのぼって発令することはできない。
・検察官等による取調べ中の職員に対しても懲戒処分はできる。
不利益処分に関する審査請求については、あとで詳しく調べます。
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