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いじめ防止のための学校・教職員の責務
法的根拠
いじめ防止対策推進法では、まず児童生徒に「いじめ」を禁止しています。
いじめ防止対策推進法4条(いじめの禁止)
児童等は、いじめを行ってはならない。
つぎに、いじめ防止対策の責任は、5つの方面に責任があるとしています。
1 国の責務
2 地方公共団体の責務
3 学校の設置者の責務(公立の学校は地方公共団体が設置し教育委員会が管理する)
4 学校及び教職員の責務
5 保護者の責務
ここでは、学校及び教職員の責務について詳しく見ていきましょう。
いじめ防止対策推進法8条(学校及び学校の教職員の責務)
学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。
学校外締めの発見・通報・報告を受けた場合には、特定の教員1人で抱え込まないようにして、学校が一丸となって速やかに組織的に取り組むことが大切です。
管理職は日常的に全教職員に対して、個々の教員の問題としてではなく、学校全体の問題として組織的に取り組むことの重要性について、さまざまな場面や研修等を通じて、徹底して指導していく必要があります。
いじめ防止の対策として学校がやっておかなければならないこと
法的根拠
いじめ防止対策推進法13条(学校いじめ防止基本方針)
学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
この条文の前には、
・「文部科学大臣」が「いじめ防止基本方針」を定めること(11条)
・「地方公共団体」が「地方いじめ防止基本方針」を定めるように努めること(12条)
が定められています。地方公共団体は努力目標なのですね。
これらを参酌するということは、内容として次のようなものが含まれるよう定めることとなります。
(11条で文部科学大臣が定める内容を参酌する)
1 いじめ防止対策の基本的な方向に関する事項
2 いじめ防止対策の内容に関する事項
3 いじめ防止対策に関する重要事項
この基本方針を定めるとともに、「学校」はつぎのようないじめ防止に関する措置をしなければなりません。
・学校におけるいじめの防止等の対策のための組織を設置する(22条)
この組織は、「複数の教職員」「心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者」「その他の関係者」により構成します。
また、この組織は、常設の組織であり、的確にいじめの疑いに関する情報を共有し、共有された情報をもとに、組織的に対応するものです。
特に、いじめであるかどうかの判断は、組織的に行うべきであり、教職員は、些細な兆候や懸念、児童生徒等からの訴えを抱え込まずに、この組織に報告、相談する必要があります。
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責務のまとめ
まとめ
22条よりも前には、基本的施策として、次のようなことが定められています。
学校の設置者及びその設置する学校の基本的施策
○学校におけるいじめの防止(15条)
・道徳教育及び体験活動等の充実を図る。
・啓発その他必要な措置を講ずる
○いじめの早期発見のための措置(16条)
・児童等に対する定期的な調査
・児童、保護者、教職員が相談できる体制の整備
・(体制整備に当たって)いじめを受けた児童等の教育を受ける権利その他の権利利益が擁護されるような配慮
国及び地方公共団体の基本的施策
○いじめの早期発見のための措置(16条)
・通報及び相談を受け付ける体制の整備
○関係機関との連携等(17条)
・関係省庁その他関係機関、学校、家庭、地域社会、及び民間団体の間の連携強化
・民間団体の支援その他必要な体制の整備
このあとも次のような内容の条文が続きます。
○いじめの防止等のための対策に従事する人材の確保及び資質の向上(18条)
○インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進(19条)
○いじめの防止等のための対策の調査研究の推進等(20条)
1つ1つの条文は、長文になっているので、ここでは掲載しませんが、原文を調べてみてください。
インターネットを通じていじめが行われた場合は、いじめを受けた児童又はその保護者は、いじめに係る情報の削除を求め、又は発信者情報の開示を請求するときは、必要に応じ、法務局又は地方法務局の協力を求めることができます。