職務専念義務とは?職専免・職免とは?

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教員の職務専念義務について

職務専念義務とは、労働義務がある日すなわち「勤務を割振る日」の勤務時間内では、自分の仕事(職務)に集中して取り組まなければならないということですね。1日の勤務時間は7時間45分。その間にはさまれている45分間の「休憩時間」は職務専念義務が免除される「職専免」になります。

 

教員の職務専念義務の法的根拠

 

職務専念義務については、地方公務員法35条に定められています。

 

地方公務員法35条(職務に専念する義務)
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

 

この規定には、3つのことが定められています。

 

1 職員は勤務時間と注意力のすべてを職責遂行に用いること。
2 職員は当該地方公共団体の職務にのみ従事すること。
3 法律又は条例に特別の定めがある場合は、職務専念義務が免除されること。

 

さてさて、この3番に規定されている「特別の定めがある場合」とは、何なのでしょう?興味がありますね。

 

その前に、教員が専念しなければならない職務には、どのようなものがあるのでしょうか。

教員が専念しなければならない職務とは?

 

教員が専念しなければならない職務

 

「職務」と「服務」は違いますよね。教員の「職務」として法的根拠があるのは、次のものです。

 

学校教育法37条(校長、教頭、教諭その他の職員)
⑪教諭は、児童の教育をつかさどる。

 

つまり、児童生徒の教育ですね。

 

しかし、それ以外にも教員の仕事は、学校運営に関する校務など様々です。

 

校務についての法的根拠ははっきりしないのですが、「校務とは何か?」で調べてあるのでそちらをご覧ください。

 

「校務とは何か?」はこちら

 

中央教育審議会の資料でしたが、念のため抜粋すると、

 

「職務」は、「校務」のうち職員に与えられて果たすべき任務・担当する役割である。具体的には、
  児童生徒の教育
  教務、生徒指導又は会計等の事務、
  時間外勤務としての非常災害時における業務
等がある。

 

「校務」とは、「学校の仕事全体」を指すものであり、「学校の仕事全体」とは、学校がその目的である教育事業を遂行するため必要とされるすべての仕事であって、その具体的な範囲は、
  1 教育課程に基づく学習指導などの教育活動に関する面、
  2 学校の施設設備、教材教具に関する面、
  3 文書作成処理や人事管理事務や会計事務などの学校の内部事務に関する面、
  4 教育委員会などの行政機関やPTA、社会教育団体など各種団体との連絡調整などの渉外に関する面
 等がある。

 

つまり、地方公務員の中でも特に教職員の場合には、学校で行われる児童・生徒への教育活動にかかわるすべてのものが職務に当たるということになります。

 

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職務専念義務の免除とは?

 

職務専念義務の免除とは?

 

さて、職務専念義務の免除とはどのようなものなのでしょうか。

 

法律又は条例に特別な定めがある場合、認められれば、勤務時間中でも職務専念の義務が免除されることになっています。

 

一番身近な、勤務時間中に職務専念義務が免除されるもの(職専免)は、この記事のトップに書いた「休憩時間」ですね。次に身近な職専免は「休日」でしょうか。公務員の「休日」とは国民の祝日と年末年始の12/29~1/3ですが、この日は勤務を割り振られているにもかかわらず、勤務を免除されている日なので、職専免になります。土日はそもそも勤務を割り振られていない日なので、職専免とはいいません。

 

もちろん、優先されるのは地方公務員としての公務です。

 

1 職員は勤務時間と注意力のすべてを職責遂行に用いること。
2 職員は当該地方公共団体の職務にのみ従事すること。

 

ですから、職務専念義務の免除は、例外であり、限定的なものであると考えたほうがいいでしょう。

 

ちなみにこの「職務専念義務の免除」は略して「職専免」「職免」と呼ばれるものです。「義務免」とも言うらしいですね。

 

先日、職員検診で引っかかったとき、病院に再検査に行ってきました。
再検査による通院は「職専免」に該当します。(職場の検診で再検査になった場合です)
幸い再検査では引っかからなかったので安心しましたが、お医者さんからは「血圧計を買って毎日血圧を測るといいですよ」とすすめられました。

 

再検査では、授業に影響がない時間帯に行く先生が多いですよね。

 

ほかに「職専免」の具体的な例は何があるのでしょうか?

 

職専免はどのようなものが該当するか

 

職務専念義務の免除は、原則からの例外と解釈されます。ですから、法律や条例が規定する事由に該当するというだけで、直ちに承認されるものではないようです。職務に支障がないか、職専免の当否を個別に判断しなければならないということのようですね。

 

法律で定められている主なもの

 

・地方公務員法で定めるもの
1 分限による休職(28条)
2 懲戒による停職(29条)・・・これって職専免なのですか。
3 在籍専従による休職(55条の2)・・・組合業務に専属で従事することですね。この場合休職になるのです。
4 職員団体から指名を受けたものが適法な交渉に参加する場合(55条8)←55条の1の8番です。在籍専従とは別です。
5 修学部分休業(26条の2)
6 高齢者部分休業(26条の3)
7 自己啓発休業(26条の5)
8 配偶者同行休業(26条の6)

 

・教育公務員特例法で定めるもの
1 教育に関する兼職兼業従事(17条)
2 本属長の承認を受けて勤務場所を離れて行う研修(22条)
3 大学院修学休業(26条、27条)

 

・労働基準法で定めるもの
1 休憩(34条)
2 休日(35条)
3 年次有給休暇(39条)

 

・地方公務員の育児休業等に関する法律で定めるもの
1 育児休業(2条、3条、4条、5条)
2 育児短時間勤務(10条、11条、12条)
3 部分休業(19条)

 

以上が法律で定められた、職専免に該当するものです。もしかしたら抜けているものがあるかもしれません。あるいは、同じ項目が別の法律にもあるかもしれません。

 

 

都道府県の条例や規則で定められているもの

 

次は、都道府県の条例や規則などで定めているものです。これは各都道府県で条文や番号が違うかもしれません。本県の場合は次のようなものがあります。細かいことも定められています。

 

・学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例で定めるもの
1 国民の祝日に関する法律で規定されている日等
2 年次有給休暇・病気休暇・特別休暇及び介護休暇

 

・職務に専念する義務の特例に関する条例及び同規則
1 研修を受ける場合
   ・大学院修士課程への派遣
   ・教員免許状更新講習への参加
2 厚生に関する計画の実施に参加する場合
   ・健康管理事業
   ・ライフプラン事業
   ・元気回復事業
3 県の特別職の職務を兼ねその職に関する事務を行う場合
4 職務に関連ある国家公務員又は他の地方公共団体の公務員の職を兼ね、その職に関する事務を行う場合
5 県行政の運営上その地位を兼ねることが特に必要と認められる団体の役職員の地位を兼ね、その事務を行う場合
6 国、地方公共団体又はその他の団体等から依頼を受け、県行政の運営上特に必要と認められる講演又は講義等(実技指導も含む)を行う場合
7 勤務条件に関する措置の要求若しくは不利益処分に関する不服申立てをし及びその審査に当事者として出頭を求められた場合
8 公務災害補償に関する審査請求または再審査請求をし、およびこれらの審査に出頭を求められた場合
9 苦情相談の調査及び処理のため事情聴取等を求められた場合
10 任命権者が特に必要と認め人事委員会が定めた場合

 

証人、鑑定人、参考人等として国会、裁判所、地方公共団体の議会その他の官公署に出頭する場合や選挙権の権利を公使する場合も職専免となります。

 

予備校の講師等は承認されません。

 

 

まとめ

 

年休・病休・特休・介護休暇・育児休業も職専免なのですね。確かに職務専念義務の免除を受けて休むものですね。

 

週休日は職専免ではないけれど、国民の祝日などの休日はすべて職専免なのか・・・
ぜんぜんそういう意識はありませんでした。(反省反省)
休日とは、給与は支払われているが、勤務時間においても勤務を要しない日でしたね。

 

「休日」と「休暇」は職専免ですが、給与は支払われています。

 

あと研修ですね。職場を離れるけど出張で勤務していると思ってましたが、そうではなかったのですね。
研修は職務の専念義務を免除されて受けているものなのだったのか・・・。

 

教育公務員特例法では、研修は義務になってましたが、職務上の義務ではないのですか・・・

 

研修については次に調べたいと思います。

 

職専免による研修はこちら

 

実は、条例の「職務に専念する義務の特例に関する条例及び同規則」に定められている「大学院修士課程への派遣」は出張なのです。出張って勤務ですよね。給与も支給されます。(条例なので本県の場合です。あなたの県はどうですか?)

 

それに対して、「教特法」の「大学院修学休業」は職専免ですが、給与は支給されません。休業や部分休業は、職専免ですが、給与は支払われていないのですね。

職専免の手続きはどうするの?

 

職専免の手続きはどうするの?

 

職専免を申請する場合は、申請書に記入の上、免除を受ける根拠となる資料を添付して所属長に提出します。

 

詳細は別に定められています。

 

また、つぎのものは実施通知や取扱通知、任命権者の包括承認、個別承認があったものとみなされます。

 

・定期健診、人間ドック等厚生に関する計画の実施
・県の特別職を兼ねその職に関する事務を行う場合
・県の行政上必要と認められる団体の役職員、事務(事前承認あり)

 

定期健診・再検査のときは、とくに職専免の手続きは不要で、管理職が把握しているということですね。
でも黙って再検査に行かないでくださいね。養護教諭と管理職に話してからいってください。

 

これが参考になるかもしれません。
実務が必ずうまくいく副校長・教頭の仕事術55の心得 [ 佐藤正寿 ]

 

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