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公務員の守秘義務とは?
公務員の守秘義務
公務員の守秘義務のポイントは3つあります。
1 秘密には、「職務上知り得た秘密」と「職務上の秘密」がある。
2 秘密を漏らすことは、在職中だけでなく退職後においても禁止である。
3 法令による承認等となり、職務上の秘密事項を発表する場合は、任命権者の許可を受けなければならない。
条文を見てみましょう。
地方公務員法第34条(秘密を守る義務)
1 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
秘密を守らなければならない理由とは?
行政は非常に多くの情報を扱います。
職員が情報を漏らしてしまえば、大きな不利益をこうむる個人や企業があるでしょう。
不快な気持ちになることもあるでしょう。
これでは、信頼される行政とは言えません。
行政の運営も困難になります。
そのために守秘義務が定められているのです。
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秘密とは?秘密とは何を指していうのか?
秘密の定義
秘密とは、一般的に了知されていない事実であって、それを一般に了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものをいう。(行政実例昭30.2.18)
こういうことまで、行政では定義されているのですね。
具体的にどのような事実が秘密に該当するかは、個々の事実について判断することになります。
例えば、
「未発表の採用試験問題」「課税台帳」
などがあります。
「職務上知り得た秘密」と「職務上の秘密」
条文の第1項では、「職務上知り得た秘密」について、漏らすことを禁止しています。
「職務上知り得た秘密」は、職員が職務の執行に関連して知り得た秘密で、自ら担当する職務に関連するものだけでなく、担当外の事項であっても職務に関連して知りえたものであれば含まれます。
例えば、
他の職員の所管に属するけれども、事務の調整上知った事実。
教員が生徒の家庭訪問の際に知ったその家庭の私的な内部事情
などがあります。
条文の第2項では、「職務上の秘密」について、証人、鑑定人等として発表するときに任命権者の許可を要するとしています。
「職務上の秘密」とは、その職員の職務上の所管に属する秘密を言います。
職務上の所管に属する秘密に「限定される」のです。
ですから、「職務上の秘密」は「職務上知り得た秘密」の一部であることになります。
例えば、
税務職員が、特定個人の滞納額を漏らすことは、職務上の所管に属することなので「職務上の秘密」を漏らしたことになります。
秘密事項の発表とは?
秘密事項の発表とは?
条文の第2項では、職員が法令による証人、鑑定人として「職務上の秘密」に属する事項を発表する場合には、任命権者の許可を受けなければならないことを定めています。
この場合、任命権者は、法律に特別の定めがある場合を除いては秘密事項の発表の許可を与えなければなりません。
鑑定人とは
裁判所は証拠に基づいて被告人が有罪か無罪かを決めます。
しかし、審理に携わる裁判官は、法律の専門家であり、且つ高い識見が要求される職責にあるといっても、あらゆる分野の知識等に精通しているわけではありません。
ところが、実際には医学、工学、自然科学などの専門的知識がないと正しく判断することができないような事件がたくさんあります。
そこで、このような場合には、学識経験のあるものを「鑑定人」として選任し、その知識等を裁判所の事実認定に役立てることにしているのです。
実際の事件では、心神喪失等の主張がされた場合に、被告人の犯行当時の精神状態を調査してもらったりする例などが多くあります。
公務員の中でも、専門家と呼ばれる方々が「鑑定人」となるのですね。
法令による証人、鑑定人となる場合の例
1 民事裁判所・刑事裁判所における証人。
2 民事事件・刑事事件の鑑定人。
3 国会における証人。
4 地方議会における証言。
5 人事委員会または公平委員会における証人。
さて、これらの秘密事項の発表は、あくまで「職務上の秘密」に限られます。
「職務上知り得た秘密」であって、「職務上の秘密」でないものについては、許可は必要ありません。
ということは、所管外の秘密事項の発表は、許可が要らないということですね。
任命権者の許可とは?
この条文の第3項では、任命権者は、法律に特別の定めがある場合以外は、許可を与えなければならないとされています。
法律に特別の定めがある場合とは、たとえば、
「任命権者が、公共の利益を害し、または公務の遂行に著しい支障を生ずる恐れがあると判断した場合」
などがあります。
秘密を漏らした場合の罰則とは?
職務上知り得た秘密」を漏らした場合、あるいは正式な手続を踏まずに「職務上の秘密」を漏らした場合には、罰則があります。
現職の公務員の場合は、
懲戒処分
刑罰の対象(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)
があります。
退職者の場合には、刑罰の対象になります。
まとめ
地方公務員ではありませんが、次のような事例はどうなのでしょうか。
ある省庁の官僚が、国会で証言することになった。
証言する内容は、「職務上の秘密」に該当することであり、その証人は、秘密を発表するならば、任命権者から許可を受けなければならない。
任命権者とは省庁の「大臣」である。
その証人は、国会の証人喚問で、真実を証言しようと考えていた。
自分が正しいと思っていることを、なにもかも話そうと思っていた。
ところが、緊急事態が発生したのである。
証言する予定だったことに関係することだった。
それは・・・
国会で内閣総理大臣が
「私や妻が関係していたということになれば、これはもうまさに総理大臣も国会議員も辞めるということははっきり申し上げておきたい」
と発言したことだった。
これによって、証言しようとしていた「職務上の秘密」は、証言したくてもできなくなった。
任命権者の許可も取れなくなった。
「辞める」という発言によって、証人は身動きが取れなくなった。
「職務上の秘密」はもう発表できなくなった。
「知りません」
「記憶にありません」
「記録は残っていません」
「すべて処分しました」
証人が答えたのは、それだけだった。
(フィクションです)
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