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教員の職務とは?
このページの「校長の職務」「副校長・教頭の職務」は、カテゴリー「学校の組織」に移す予定です。
教員の職務とは?
教育法規の様々なところで「職務」という言葉が出てきます。
「職務」はその「人」に与えられた「役目」であったり、その「人」が担当している「仕事」だということはわかるのですが、教育の場合は具体的にどんなことを指しているのか、どこかに定義されているところはないかと思い、探してみました。
すると、文部科学省のホームページの中央教育審議会初等中等教育分科会教職員給与の在り方に関するワーキンググループのところにありました。資料5です。
いつのものかは日付がないので不明です。「教員の職務」で検索すると出てきます。
法律などでは定義はありません。職務は知ってて当たり前のことということなのでしょうか。
教員の職務について
1 「職務」としての位置づけ:
「職務」は、「校務」のうち職員に与えられて果たすべき任務・担当する役割である。具体的には、
児童生徒の教育
教務、生徒指導又は会計等の事務、
時間外勤務としての非常災害時における業務
等がある。
「校務」とは、学校の仕事全体を指すものであり、学校の仕事全体とは、学校がその目的である教育事業を遂行するため必要とされるすべての仕事であって、その具体的な範囲は、
1 教育課程に基づく学習指導などの教育活動に関する面、
2 学校の施設設備、教材教具に関する面、
3 文書作成処理や人事管理事務や会計事務などの学校の内部事務に関する面、
4 教育委員会などの行政機関やPTA、社会教育団体など各種団体との連絡調整などの渉外に関する面
等がある。
なお、職務の遂行中又はそれに付随する行為の際の負傷は、公務上の災害として補償が行われる。
最後に、公務上の災害のことを付け加えているのは、安心して働いてくださいということでしょうか。
それでは、教員のいろいろな職についての職務を調べていきます。
校長・教員の職務とは?
では、教員のどんな職にどんな職務があるのかを見ていきます。
その前に、
「教員」とはどの人のことを言うのか?知ってますか?
実は、法律によって違ったりするのです。
(教育基本法第9条)(教員)
法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
「法律に定める学校」とは、
(学校教育法第1条)
この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
となっています。これによると教育基本法の「教員」の意味するところは、すべての学校のすべての教職員(学長、教授、校長、園長、、副校長、教頭、教諭など)を意味します。
ところが、その学校教育法では違うのです。
(学校教育法第7条)(校長、教員)
学校には、校長及び相当数の教員を置かなければならない。
これによると、校長は、教員に含まれないことになります。
教育公務員特例法も同様です。
(教育公務員特例法第2条)(定義)
この法律で、「教育公務員」とは、地方公務員のうち、学校教育法第1条に定める学校であって、同法第2条に定める公立学校の学長、校長(園長も含む)、教員及び部局長ならびに教育委員会の教育長及び専門的教育職員を言う。
(同第2条第2項)
この法律で「教員」とは、前項の学校の教授、准教授、助教、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、用語助教諭、栄養教諭及び講師(常時勤務のもの又は短時間勤務の職を占める者に限る)をいう。
この法律の条文では、「教育公務員は」「教員は」「校長及び教員は」などのように、対象が明確に記載されています。
「教員」の定義をしっかり覚えておかなくてはいけませんね。
校長の職務とは?根拠となる法律は?
校長の職務権限
職務権限とは、その職にある公務員が法令の規定に基づいて行うことのできる権限のことです。
各職の職務権限については、学校教育法で定められています。
(学校教育法第37条)(校長、教頭、教諭、その他の職員)
④校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
校務をつかさどるとは?
「校務」とはこのページの最初に書いておきました。改めて書くと
1 教育課程に基づく学習指導などの教育活動に関する面、
2 学校の施設設備、教材教具に関する面、
3 文書作成処理や人事管理事務や会計事務などの学校の内部事務に関する面、
4 教育委員会などの行政機関やPTA、社会教育団体など各種団体との連絡調整などの渉外に関する面
つまり「校務をつかさどる」とは、学校の仕事全体を掌握し処理することなのです。
これを「校務掌理権」といいます。
ということは、学校を管理運営する上で必要なすべての事項は、校長の権限と責任においてなされなければならないのです。
これらの仕事を校長が自分で処理するか、または所属職員に分掌させて処理するということなのです。
必要があれば、職務命令も発します。
このほかにも校長の職務権限はいくつかあります。
・児童生徒の懲戒(学校教育法11条)
・卒業証書の授与(学校教育法施行規則58条)
・高校の入学許可(同規則90条)
・感染症予防のための出席停止(学校保健安全法19条)
さらには次のようなものもあります。
・教材教具の取り扱い
・教職員の出張命令
・教職員の研修に関すること
これらのことはすべて校長の権限と責任で行われているのですね。
あなたは知ってましたか?
以上が「校務をつかさどる」の部分でした。
次は「所属職員を監督する」の部分です。
所属職員を監督するとは?
「監督」とは、部下に分掌させた業務が適正に遂行されることを確保する作用を言います。
ちょっと意味が不明ですね。
具体的にどんなことかというと、
・監視権
・許可承認権
・指示命令権
・取消停止権
・権限争議の決定権
なのだそうです。
これを学ぶのは校長になってからでも遅くはない?
もう一つ、所属職員の「監督」は職務上だけではなく、身分上の監督も含まれます。
「所属職員」とは、その学校に勤務を命ぜられた全職員を言い、非常勤講師や学校医なども含みます。
職務上の「監督」とは勤務時間中の法令遵守義務や職務専念義務等についての責任です。
身分上の「監督」とは勤務時間の内外を問わず、
・信用失墜行為の禁止
・守秘義務の遵守
・政治的行為の制限
など公務員としての身分に伴う行動の規制(服務の監督)です。
最近のものではセクハラ防止の監督もあります。
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副校長・教頭の職務とは?
副校長・教頭の職務権限
副校長・教頭の職務は、次のように規定されています。
(学校教育法37条5項)
副校長は、校長を助け、命を受けて校務をつかさどる。
(学校教育法37条7項)
教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。
ここでは教頭の職務を詳しく見ていきましょう。
「校長を助け」とは?
校長を補佐するとも言います。これは教頭の職務の範囲が、校長の職務全体に及ぶことを意味します。
教頭先生って忙しそうですものね。
「校務を整理し」とは?
「整理」は全体的なとりまとめを行うことですが、日常言われている整理と同じ意味に捉えてはいけないのです。
さて、ではどんなことかというと「総合的な調整」、つまり教頭は、学校運営について校長を補佐するため、総合的な調整機能を果たすことを定めているのです。
学校では、さまざまな校務分掌がありますが、各分掌の仕事の調整をして、校長が最終意思決定をするときに適正に行われるよう、事前に問題点を吟味し、校内の意見を取りまとめ、解決案を用意すること。
これが、教頭に要求される「整理」なのです。
教頭先生って忙しいわけだ。これではなりたい人も少なくなってくるかもしれませんな。
最後の「必要に応じ」授業をすることができることを定めているのは、念のための確認規定なのだそうですが、私が現在勤務している学校では教頭も授業をしています。30年前に勤務していた学校でもそうでしたが、いまは教頭が授業をしている学校はどれくらいあるのでしょうね?
まとめ
副校長は、校長の命を受けて校務をつかさどり、教頭は校務の整理を中心に必要に応じて教育をつかさどる。しかし、実際は両者の違いはほとんどない。
教頭であっても、管理運営規則で校務の一部をつかさどる場合がある。
副校長も教頭も、校長に事故があるときはその職務を代理し、校長が欠けた時はその職務を行う。
(これについては次で詳しく見ていきます。)
補足
(学校教育法第60条第3項)
第1項の規定にかかわらず、副校長を置くときは、教頭をおかないことができる。
東京都では、教頭という職はなくなり、すべて副校長になっていましたね。(間違ってたらごめんなさい)
教頭が行う「校長の代理・代行」とは?
(学校教育法37条8項)
教頭は校長に事故があるときは教頭が校長の職務を代理し、校長が欠けた時は教頭が校長の職務を行う。
「校長に事故があるとき」とは、
・校長の海外主張
・海外旅行
・休職
・長期にわたる病気
などの場合があります。校長は職務を執行できません。
この場合は、教頭が校長に代わって、校長の職務を「代理」することになります。
たとえば、代わりにしなければならないことの例としては、
・児童生徒の懲戒
・入学の許可
・課程修了の認定
・卒業証書の授与
などがあります。この場合、教頭が職務「代理」者として自己の名で行うのです。
行為自体は教頭が行うのですが、行為の「効果」は校長が行ったと同じ事になります。
あなたは、教頭になったら、このようなことを校長の代わりに「代理」できますか?
次に、「校長が欠けたとき」とは、
・校長が死亡
・退職
・免職
・失職
などの場合があります。
校長が欠けた時は、校長が存在しないので、「代理」ではなく「代行」になるのだそうです。
代行は、校長の本来の職務権限の全体にわたり、後任者の発令までの期間、職務代行者として、教頭の名で行います。
でも、学校教育法には「代行」とは書いておらず、「行う」と書いてあることに注意してくださいね。
「代理」「代行」いずれにしても、実際こういうことになれば、教育委員会とよく相談して進めなければなりませんね。また、事後にも教育委員会にきちんと報告しなければなりません。
以前私が知っている校長先生が、ガンで卒業式直前に亡くなったことがあります。
このときは卒業証書は誰の名前で作成していたのでしょうね。
校長先生の名前で作成していたとすれば、全部書き直したのかな?
でも直前まで書かないでおいたのかな?
「代決」「専決」とは?教頭が認められているのはどんなことか?
代決とは
校長に事故があったときに、教頭が校長の名において校長に代わって一時的に決裁すること。
専決とは・・・国語辞典によれば「ひとりの考えで決めること」
校長の在・不在にかかわらず、校長の権限に属する事務を、あらかじめ認められた範囲内において、校長に代わって常時決裁すること。ただし、「委任」または「代理」と異なり、その効果は内部的意思決定にとどまるものである。
・「代決」「専決」ともに教頭の職務である「校長を助け」の一環として行われるもの。
・校長の職務執行を内部的に執行するもの。
・校長の名で、校長の行為として行われ、その行為の責任も直接校長にあるもの。
つまり、
・「代理」「代行」は校長に代わって「教頭の名で」教頭が行うもの
それに対して
・「代決」「専決」は校長に代わって「校長の名で」教頭が行うもの
ということですね。
主幹教諭とは?
主幹教諭の法的根拠
(学校教育法第37条第2項)(同第60条第2項)
主幹教諭・・・を置くことができる。
本県では高等学校の主幹教諭の配置基準は次のようになっています。
9学級以上・・・1名
18学級以上・・・2名
特別支援学校では
教育職員30名以上・・・1名
教育職員60名以上・・・2名
教育職員90名以上・・・3名
主幹教諭の職務とは?
(学校教育法第37条第9項)(同第62条で高等学校にも準用)
主幹教諭は、校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、ならびに児童の教育をつかさどる。
・2007年、学校教育法の改正により制度化された。
・校長、教頭による鍋ぶた型の管理体制をやめ、係長クラスの職を新設し、ピラミッド型の組織体制を作る。
・校長の指揮のもと、組織的・機動的な学校運営を行い、児童生徒や地域の実態に応じた特色ある教育活動を目指す。
・教諭と同様に授業を担当する。
・主幹教諭の主な仕事
(1)校務整理、校務分掌間の調整・進行管理
(2)調査・報告書の作成・処理
(3)保護者・地域など外部への対応
・学校の組織運営体制が整備され、保護者や地域への対応など、学校をめぐるさまざまな課題に対して円滑に対応できるようになった。
・これまで教諭が行っていた(1)~(3)の負担が軽減され、個々の教諭は授業に集中して、より児童生徒と向き合うことができるようになった。
以前は、確かになべぶた型と呼んでましたね。
校長、教頭以外はみんな教諭で平等という意識が私にはありました。
今は、副校長、主幹教諭、指導教諭なんていう職もできて、すっかりピラミッド型です。
完全に「文部科学省ホールディングス化」してきましたね。
国立大学もこれに巻き込まれそうな勢いです。歌とか・・・
職員会議も校長の諮問機関になっちゃいました。
昔、職員会議の司会は先生方の輪番でした。懐かしいな。
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