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休暇が設けられた目的とは?
公務員の休暇は、4つありました。
・年次休暇
・病気休暇
・特別休暇
・介護休暇
これらの休暇が設けられた目的は、次のように法令にあるのです。
目的と読み取れるところを部分的に抜粋します。
なお、地方公務員の休暇については条例で定められています。このことには注意してください。
面接で自慢げに「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律で定められています」なんて答えると、痛い目にあいますのでホントに注意してください。
病気休暇、特別休暇、介護休暇を設けた目的とは?
・病気休暇は、国家公務員の場合には次の法律にあります。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律18条(病気休暇)
「病気休暇は職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ない」ため。
これは承認されれば取得できる休暇です。「やむを得ないと認められる場合における休暇」とあります。そして有給休暇です。
・特別休暇も同じ法律です。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律19条(特別休暇)
「特別休暇は、選挙権の行使、結婚、出産、交通機関の事故その他の特別の事由により職員が勤務しないことが相当である」ため。
これも承認されれば取得できる休暇です。人事院規則の各々の条文に「・・・と認められるとき」とあります。そして有給休暇です。
・介護休暇も同じ法律です。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律20条(介護休暇)
「介護休暇は、職員が配偶者、父母、子、配偶者の父母その他人事院規則で定めるもので、負傷、疾病又は老齢により人事院規則で定める期間にわたり日常生活を営むのに支障があるものの介護をするため」
となっています。
これも承認されれば取得される休暇ですが、1時間につき勤務1時間あたりの給与額が減額されます。
年次休暇が設けられた目的とは?
年次休暇が設けられた目的は?
では年次休暇が設けられた目的は、どのように定められているのでしょうか。同じ法律に定められているのでしょうか。
ところが、年次休暇の条文は、いきなり「日数」について書き始められているのです。
第1項に書いておらず、第2項も「繰越」について、第3項も「承認」について書かれてあるのみで、どこにも「目的」は書いていないのです。
これはどういうことなのでしょうか。
年次休暇の「目的」を法律以外で探してみた。
私が持っている本(法規の攻略法:久保田正巳著、学陽書房)では、つぎのようにあります。
「年次有給休暇は、職員の心身の疲労を回復させ、健康と福祉の維持・増進を図ることを目的として・・・」
さて、これはどこかに載っているものなのでしょうか。いろいろ探してみたのですが、見付けられませんでした。ちなみに、「年次有給休暇」と言う表現は、「労働基準法」にある表現でした。公務員の法律や条例では「年次休暇」と言うようでした。
つぎは、厚生労働省のホームページからです。労働基準法のFAQにありました。
Q.年次有給休暇とは、どのような制度ですか。(略)
A.年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇」(略)
とありました。この表現もどこかに載っているのでしょうか。
だれか教えてくれませんか?といってもこのサイトにはメールフォームがないので無理か・・・
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年次休暇は承認されないと取得できないのか?
先の「病気休暇」「特別休暇」「介護休暇」は承認されれば取得できました。
では、年次休暇はどうなのでしょうか。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律17条第3項
年次休暇については、その時期につき、各省各庁の長の承認を受けなければならない。この場合において、各省各庁の長は、公務の運営に支障がある場合を除き、これを承認しなければならない。
これは、基本的には職員が請求すれば、その目的・内容にかかわらず承認される休暇であるということです。
ただし、「その時期につき」というところが1つあります。
例えば学校の場合は、テスト期間に考査があった場合、担当教科の先生が1人しかいないのにその先生が年次休暇を取って不在になったら、テストに何かあっては対応できる人がいないことになります。
このような場合、所属長は、公務の運営に支障があると判断すれば承認しないことができるわけです。
また、入試の場合もそうですね。職員が1人でも欠けると運営に支障が出るとなったら、承認できません。別の日にとってくれとお願いするのでしょうか。
ただし、職員の権利を不当に判断してはならないようですから校長先生は注意しなければなりません。
時季変更権とは?
時季変更権とは
このようなことを「時季変更権」といいます。
労働基準法に定められているものです。労働基準法では「時季」というのですね。季節(シーズン)ということです。
労働基準法39条(年次有給休暇)
⑤使用者は前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
時季変更権の裁判もいくつかあって、判例は次のようなものがあるようです。
・年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である。
・いわゆる一斉休暇闘争の実質は、年次休暇に名を籍りた同盟罷業にほかならない。したがって、その形式のいかんにかかわらず、本来の年次休暇権の行使ではないのであるから、これに対する使用者の時季変更権の行使もありえず、一斉休暇の名の下に同盟罷業に入った労働者全部について、賃金請求権が発生しないことになる。
「同盟罷業」は「争議行為」のところで出てきましたね。年休を取ってストライキはいろいろ問題があるようですね。
そもそも「同盟罷業」などの争議行為は禁止されていて、それを守ることは公務員の身分上の服務義務ですから、職務の内外を問わず遵守すべき義務です。したがって、年休を取ったら同盟罷業でも何でもしていいわけはないのです。
でも逆の判例もあるのですよ。年休でストライキを認められた判例もね。
授業の振替や代講などの措置をして年休を取った例ですが、ストライキだったということで校長が時季変更権を行ったものの、裁判では労働者側が勝訴した判例です。(道立夕張南高校事件 最一小判昭和61.12.18)
おわり
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