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教員の給与のまとめ
教員の給与について、まとめました。
教員の採用と任命のところでも少し出てきましたが、ほかにもばらばらに出てきた部分もあるので、まとめておいたほうがよいと思います。また、基本的な用語についても知らないものがあるのですよ。
給与と給料のちがいとは
まず、給与と給料の法的根拠を見て行きましょう。
地方公務員法24条(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
6 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
これを給与条例主義といいます。各都道府県、市町村の条例により給与を定めます。
地方公務員法25条(給与に関する条例及び給料額の決定)
1 職員の給与は、前条第6項の規定による給与に関する条例に基づいて支給されなければならず、また、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない。
3 給与に関する条例には、次の事項を規定するものとする。
1 給料表
2 昇給の基準に関する事項
3 ・・・
7まであります。
この条文により、給与と給料は異なるものであることがわかります。給与に関する条例の中に給料表があるのですから、給料は給与の中に含まれるものであることがわかります。
しかし、この条文からは、何が違うのかはっきりしませんね。
とにかく給与は条例によって決まるものであり、その条例には、「給料表」が規定されているということですね。
給与と給料の違いをはっきりさせる前に、教員の給与についてもう少し調べてみましょう。
ここまでの条文は地方公務員に関するものですが、教員の場合は、これに加えて特別な定めがあるのです。
教職調整額とは
教職調整額とは
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法3条(教育職員の教職調整額の支給等)
1 教育職員(校長、副校長及び教頭を除く。)には、その者の給料月額の100分の4に相当する額を基準として、条例で定めるところにより教職調整額を支給しなければならない。
まず気をつけなければならないのは、この法律において「教育職員」とは、校長、副校長、教頭を含まないということですね。主幹教諭、指導教諭は「教育職員」に含みます。
これらの管理職は、教職調整額を支給されていないということですね。(そうだったのか)
同3条の続きです。
2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。
これは教員の職務と勤務形態の特殊性から、時間外勤務手当(いわゆる残業代)を支給しない代わりに「教職調整額」を支給しているということです。
教員の時間外勤務とは
公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令
1 教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとする。
2 教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむをえない必要があるときに限るものとすること。
イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
ハ 職員会議に関する業務
二 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務
このイ~ロの4つを「超勤4項目」と言うのでした。
この4項目の残業代を支給しない代わりに、教職調整額が支給されているのです。
それ以外のことは残業とは言いません。(放課後や休日の部活動指導など)
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給与の内訳
給与の内訳は
前回の教員の人事制度の中で、市町村立の公立学校の教員の給与は、都道府県が負担するというものがありました。次のとおりです。
市町村立学校職員給与負担法1条(市町村立小中学校等職員の給与の都道府県負担)
市町村立の小学校、中学校、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の校長、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、養護助教諭、寄宿舎指導員、講師、学校栄養職員及び事務職員のうち次に掲げる職員であるものの給料、扶養手当、地域手当、住居手当、初任給調整手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、特地勤務手当、へき地手当、時間外勤務手当(学校栄養職員及び事務職員)、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、義務教育等教員特別手当、寒冷地手当、特定任期付職員業績手当、退職手当、退職年金及び退職一時金並びに旅費並びに定時性通信教育手当並びに講師の報酬及び職務を行うために要する費用の弁償は、都道府県の負担とする。
この中には「教職調整額」は入っていません。それでは「教職調整額」は、どのような扱いになるのでしょうか。
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法4条(教職調整額を給料とみなして適用する法令)
前条の教職調整額の支給を受けるものに係る次に掲げる法律の規定及びこれらに基づく命令の規定の適用については、同条の教職調整額は、給料とみなす。
特別措置法3条の次に、すぐこの4条を示せばはっきりしたのですが、超勤4項目の復習に時間がかかり、すみませんでした。
まとめ
これでわかりました。
「給料」とは、給料表の値である本給に、教職調整額を加えたもの。
「給与」とは、給料に諸手当を加えたもの。
よろしいでしょうか。
また、諸手当の中に「義務教育等教員特別手当」というものがありますが、教職調整額のほかに何が特別なのでしょうか。その法的根拠を見つけました。
学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法(略して「人材確保法」と言うのだそうです。)
第1条(目的) この法律は、学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ、義務教育諸学校の教育職員の給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的とする。
第2条(定義) この法律において、「義務教育諸学校」とは、学校教育法に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。
第3条(優遇措置) 義務教育諸学校の教育職員の給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。
あれ~。高等学校には適用されていないのですか。「義務教育等」には高等学校は入らないのですか。それは意外でした。
でもこれで教員の給与について、すっきりしましたよ。
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