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政治的行為の制限を違反したらどうなる?
政治的行為の制限を違反したらどうなる?
人事院規則14-7には、政治的行為の定義がたくさんありました。
では、実際にそのような政治的行為を行って、
制限違反をしてしまったらどうなるのでしょうか。
今回は、そこのところを詳しく見て行きましょう。
公立学校の教員が制限違反をした場合
公立学校の教員が制限違反をした場合
人事院規則14-7は、国家公務員の規則であって、国家公務員が違反をした場合は、「国家公務員法110条1項」が適用されます。これは刑事罰です。
ところが、同じ人事院規則14-7は教員にも適用されるにもかかわらず、教員には国家公務員法110条は適用されません。
次の法律を見てください。
教育公務員特例法18条(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)
1 公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。
2 前項の規定は、政治的行為の制限に違反したものの処罰につき国家公務員法第110条第1項の例による趣旨を含むものと解してはならない。
どうでしょうか?国家公務員と教員は、処罰については違うのだということですね。
念のため、問題の国家公務員法110条とはどのようなものなのでしょうか。
国家公務員法110条
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
19 第102条第1項に規定する政治的行為の制限に違反した者
上の条文は、第1項から第20項まであります。政治的行為の制限違反は第19項です。
さて、では公立学校の教員は、どのような罰が待っているのでしょうか?
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公立学校の教員が政治的行為の制限に違反したらどうなるか?
公立学校の教員が政治的行為の制限に違反したらどうなるか?
まず第1に、罰に関しては「地方公務員法」に戻るのであるということです。
地方公務員法29条(懲戒)
1 職員が次の各号の1に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
公立学校の教員が違反した場合は、「懲戒処分」になるということですね。
それぞれどんな処分だったのかは省略します。
→懲戒
公職選挙法にも定められてあるのです。
公職選挙法137条(教育者の地位利用の選挙運動の禁止)
教育者(学校教育法に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育保育等の総合的な提供の推進に関する法律)に規定するようほ連携方認定子ども園の長及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。
この規定においては、教員は勤務時間の内であっても、勤務時間の外であっても、休暇、休職、在籍専従期間、育児休業、停職などにより現実に勤務に従事しなくても選挙運動が禁止されています。
具体的にはどれくらいの罰金が対象になるのか。
選挙運動を教員が行った場合は次のように罰金や懲戒処分があります。
公職選挙法239条(教育者の地位利用(ほか))
次の各号の1に該当する者は、1年以内の禁固又は30万円以下の罰金に処する。
教育職員免許法10条(失効)
免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う。
1 第5条第1項第3号、第4号、又は第7号に該当するに至ったとき。
第5条第1項第3号とは以下のとおりです。
教育職員免許法第5条
教育免許状は~ただし次の各号のいずれかに該当する者には、授与しない。
4 禁錮以上の刑に処せられた者
このようになってしまうのですね。禁錮とは監獄に入ることです。
もしそうなってしまうと、免許状が失効すると同時に、次の法律も適用されます。
地方公務員法28条(降任、免職、休職等)
4 職員は、第16条各号の1に該当するに至ったときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う。
公務員としての職を失ってしまうのですね。
第16条とは「欠格条項」です。つまり、職員となることはできません。
3 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその失効を受けることがなくなるまでの者。
まとめ
禁錮以上の刑の対象になるというのは、よっぽどのことです。監獄に入るのですからね。
そのようなことがないようにしたいものです。
教員にとって政治的行為は絶対にいけません。
議員になりたかったら、きっぱり教員をやめて、教員であったことを利用せずに政治的活動をしてください。
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