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臨時的任用とは?
臨時的任用とは何か?
次は「臨時的任用」についてです。
条件付採用というのは、いわゆる「試用期間」のようなものでしたが、臨時的任用は、どのようなものなのでしょうか。
地方公務員法第22条(条件付採用及び臨時的任用)
2 人事委員会を置く地方公共団体においては、任命権者は、人事委員会規則で定めるところにより、緊急の場合、臨時の職に関する場合又は採用候補者名簿(昇任候補者名簿)がない場合においては、人事委員会の承認を得て、6月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。
3,4省略
5 人事委員会を置かない地方公共団体においては、任命権者は、緊急の場合又は臨時の職に関する場合においては、6月をこえない期間で臨時的任用を行うことができる。この場合において、任命権者は、その任用を6月をこえない期間で更新することができるが、再度更新することはできない。
6 臨時的任用は、正式任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。
7 前5項に定めるものの外、臨時的に任用された者に対しては、この法律を適用する。
臨時的任用が認められる場合とは?
次の3つの場合に認められます。
① 緊急の場合
② 臨時の職に関する場合
③ 採用候補者名簿がない場合
ただし、③採用候補者名簿がない場合については、人事委員会を置かない地方公共団体の場合は作成を義務付けられていないので、除外されます。
なお、人事委員会を置く地方公共団体の場合は、①~③のいずれの場合においても「人事委員会」の承認が必要となります。
①緊急の場合とは?
災害その他重大な事故のため、正規の採用が行われるまでの間、その職員の職を欠員にしておくことができない場合、あるいは、災害その他重大な事故の発生により緊急にある職員の採用を必要とする場合です。
②臨時の職に関する場合とは?
臨時的任用を行う日から1年以内に廃止されることが予想される臨時の職員に関する場合、たとえば、決算業務に臨時の職員(アルバイト等)を任用する場合です。
③採用候補者名簿がない場合とは?
人事委員会が提示する採用候補者名簿が存在しない場合、採用候補者数が提示すべき数に足りない場合、採用候補者名簿に記載されたものがすべて任用され、あるいは残る候補者が任用を辞退した場合、さらには人事委員会をおく地方公共団体においてそもそも競争試験を実施しなかった場合等です。
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臨時的任用の期間は?その更新はどうなるのか?
臨時的任用は、原則として6ヶ月以内の期間で行うことができます。
ただし、この期間を超えて継続しなければならないような必要がある場合には、さらに6ヶ月以内の期間に限り1回だけこれを更新することができます。
これは、臨時的任用職員の身分が不確定なものであり、あまり長期にわたってこのような状態を継続させることは酷であるからです。
さらに、長期的・継続的に任用すべき職員は、本来正規の任用によるべきだとの趣旨に基づくものです。
教員の講師には、6・6講師(ろくろくこうし)や6・5講師(ろくごこうし)と呼ばれるものがあります。
これは、1年間の期間の講師をする場合、6ヶ月のあと、更新してさらに6ヶ月の講師であるということです。
これ以上は更新できないのですが、1ヶ月の空白があれば、ふたたびできるようで、夏休みに1ヶ月の空白を作って何回も(数年間)講師を続けていることもあります。6・5はそういう意味なのでしょうか。
また、臨時的任用教員といえば、常勤講師のことをいいます。
また、本県の「非常勤講師の任用等に関する要綱の制定について」というものには、次のように書いてありました。
「講師の任期は1年とする。」
これは、非常勤の講師に関するものですから、それの任期が1年ということは、常勤講師も1年というものがあるのかもしれません。
人事委員会規則をもっと詳しく読み込む必要がありそうです。
「優先権を与えるものではない」とは?
臨時的任用職員は、「正規の採用」に関して、なんらの優先権も与えられません。
改めて正規の職員となるためには、競争試験・選考を受けなければなりません。
というのは、臨時的任用職員は、任命権者の判断で任用することができるからです。
正規採用職員のような能力の実証もなく、特段の手続なしに任用されるものだからです。
「臨時的任用された者に対しては、この法律を適用する」とは?
地方公務員法上の様々な服務規程が適用されるということです。
ただし、分限や不利益的処分に対する不服申し立ての身分保障に関する規定は適用されません。
これについては、第29条で詳しく調べます。
まとめ
臨時的任用については、管理職試験で出題されたことがあります。
そのときは、どこに書いてあることかもわからず、試験中ひたすら教育関係法規集をめくって何の法律にのっているものなのか探しました。(持ち込み可の試験です。)
それでは×ですよね。
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