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欠格条項とは?
欠格条項とは?
欠格条項とは、地方公務員としての資格が欠けてしまう条件のことです。
言い換えると、地方公務員の不適格者を排除するための条件です。
なんだか厳しそうですね。
地方公務員であるためには、一定の資格が必要なのです。
地方公務員は、地域の住民から信頼されていなくてはなりません。
信頼されないような不適格な行為をする者は、公務員から排除しなければならないようなのです。
さて、公務員として必要な資格とはどのようなものなのでしょうか。
地方公務員法第16条(欠格条項)
次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、または競争試験若しくは選考を受けることができない。
1 成年被後見人または被保佐人
2 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者
3 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
4 人事委員会または公平委員会の委員の職にあって、第60条から第63条までに規定する罪を犯し刑に処せられたもの
5 日本国憲法施行の日(昭22年5月3日)以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入した者
読んでみると、公務員として必要な持っていなくてはならない資格ではなくて、このような人は公務員になれませんよ、という類の条文のようです。
1つ1つ見て行きましょう
成年被後見人または被保佐人
成年被後見人とは?
精神上の障害によって、常時、物事の道理を認識し、判断する能力を欠いている状態にある者のことをいいます。家庭裁判所が、後見開始の審判をした者のことです。
被保佐人とは?
精神上の障害によって、物事の道理を認識し、判断する能力が著しく不十分な者です。家庭裁判所が保佐開始の審判をした者のことです。
成年被後見人のほうが、重症だということでしょうか。常時判断能力を欠いていますからね。
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者
禁錮以上の刑とは、「死刑」「懲役」「禁錮」の3つの刑をいいます。
その後ろの部分は、刑が確定して刑の執行が終わるまでの期間内にある者や、時効が完成しない者、仮出獄中の者、刑の執行猶予中の者、などの者を言っています。
刑に処せられた人を、公務員に任用できるのか?
刑に処せられた人を地方公務員として任用することは、住民の信頼を裏切る行為です。
あるいは、地方公共団体全体の信頼が損なわれることにもなりかねません。
・日本国憲法には「法の下の平等」(第14条)
・地方公務員法には「平等取扱の原則」(第13条)
がありますが、禁錮以上の刑を受けた者を任用から除外することは、法律違反とはならないのです。
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当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
禁止差荒れるのは懲戒免職処分された地方公共団体の任用ですから、他の地方公共団体における任用を拘束するものではありません。
つまり、隣の町の採用試験なら受験できるということです。
2年も待つのができないならそうしたほうがいいですね。
でも、風のうわさというのもあるし、情報は伝わりますけどね。
教員の場合は、懲戒免職処分をうけたときに、教員免許も取り上げになることもありますから、再び教員にはなれないこともあります。
人事委員会または公平委員会の委員の職にあって、第60条から第63条までに規定する罪を犯し刑に処せられたもの
第60条から第63条までとは何でしょう?
罰則の章にある条文ですね。
第60条 1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。
内容は省略します。
第61条 3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する。
第62条 第60条、第61条に掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし、またはそのほう助をした者は、それぞれ各本条の刑に処する。
第63条 3年以下の懲役に処する。(内容省略)
これらは、人事委員会委員、または公平委員会委員に適用されるものですね。人事委員会は一般の職員がこのような違反をしないようにする委員会なのに、その人事委員会委員が悪いことをしたら、大変な義務違反になるのですね。
日本国憲法施行の日(昭22年5月3日)以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入した者
日本国憲法施行の日(昭22年5月3日)以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、またはこれに加入した者
政党や団体がこれに該当するかどうかの認定は、国家公務員については人事院が行うと解されていますから、地方公務員については人事委員会または公平委員会が行うこととなります。
破壊活動防止法もありますが、つい先日、共謀罪に関する法律が国会で通りましたね。
いよいよ監視社会の色が濃くなりました。
なぜAはかつてのドイツのあの人物と同じ行為をするのだろう?
もしも欠格条項に該当する人物を誤って採用してしまったら?
さてどうなるのでしょうか?
そもそもそんなことはあってはならないことなのですが、罪を犯したことを隠して受験するなんて事もあり得ますからね。
調べたところでは次のようになるのだそうです。
欠格者を採用したという事実はどうなるのか?
当然、無効となります。発見までに時間がかかった場合は、採用時にさかのぼって無効となります。
欠格者が行った仕事はどうなるのか?
本来は白紙に戻さなければならないのでしょうが、安定と継続性のために、有効として扱うのだそうです。
欠格者がもらった給料はどうなるのか?
本来は全額返還となるのでしょうが、欠格者も労働力を提供したわけですから、ただ働きというわけにも行かないのでしょうね。返還しなくてもよいようです。
退職金は?
そこまでやる必要はありません。しかし、雇用保険料にかかわる退職手当など、支給されるものもあるようです。
共済組合の掛金は?
詳しくはわかりませんが、長期の分は返還され、短期の分は返還しないのだそうです。
異動通知は?つまりクビ?の通知があるのか?
「採用は無効であるので登庁の必要なし」という通知があるらしい?
まとめ
欠格条項は厳しいですね。
服務規律の違反も、本県では、最近特に飲酒運転は一発懲戒免職です。酒気帯びもです。
以前、福岡市の職員の飲酒運転事故がありましたが、絶対に飲酒運転はやめましょう。
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