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地方公務員法で職専免になる場合とは?
法律で特別な定めがあり、認められた場合には、勤務時間中でも職務に専念する義務が免除されることになります。
どのような場合があるのでしょうか?
地方公務員法の場合を見てみましょう。
地方公務員法で定められているもの
28条 分限処分による休職
29条 懲戒による停職
55条 交渉(職員団体から指名を受けた者が適法な交渉に参加する場合)
55条の2 在籍専従による休職
26条の2 修学部分休業
26条の3 高齢者部分休業
26条の5 自己啓発等休業
26条の6 配偶者同行休業
あなたはいくつ説明できますか?
1つ1つ調べていきます。
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分限による休職とは?職専免なのか?
分限処分とは
分限処分とは、職員の同意を要しないで行われる、懲罰的な意味合いを持たない処分のことです。
また「分限」とは「身分保障の限界」ということです。
分限処分は4種類(降任、免職、休職、降給)ありますが、そのうち「分限休職」が職専免に該当します。
分限休職となる事由は次のとおりです。
1 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
2 刑事事件に関し起訴された場合
3 条例で定める事由
分限休職は「処分」なのですが、なぜ「処分」が職務に専念する義務の「免除」なのか、どういう感覚なのか私はピンときませんでした。
そこで、法的根拠はないか探してみたのです。
すると・・・
地方公務員法には、
「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」(24条)
とあり、また分限についても、
「職員の意に反する降任、免職、休職および降給の・・・法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない」(28条)
とあるので、条例を調べてみました。
本県の条例では・・・
「職員の分限に関する条例」にあったのです!!!
「休職者は、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。」(5条)
これで分限休職が職専免であるという法的根拠がはっきりしました。あなたも自分の県の条例を見てくださいね。
懲戒による停職とは?これも職専免でいいのか?
分限について長くなりましたが、次は懲戒による停職です。
これも停職なのに、職務専念義務を免除されると言うのはなんだかニュアンスが違うような気もします。
懲戒の種類
懲戒も分限と同様、4種類(免職、停職、減給、戒告)あります。
このうち、懲戒停職が職専免だということですが、法的根拠はどのようになっているのでしょうか。
法的根拠
本県の「職員の懲戒に関する条例」には次のようにありました。
停職者は、その職を保有するが、職務に従事しない。(第5条)
ここにありました。「職務に従事しない」とあるので、分限のときと同じように、職専免なのですね。
交渉って?これも職専免ですか?
法的根拠
地方公務員法55条(交渉)
8 本条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても行うことができる。
勤務時間中においても交渉ができるとすると、その間は、職務が免除になると言うことですね。
交渉についての詳細は別の機会に。
在籍専従による休職とは?休職だから職専免?
法的根拠
地方公務員法55条の2(職員団体のための職員の行為の制限)
1 職員は、職員団体の業務にもっぱら従事することができない。ただし、任命権者の許可を受けて、登録を受けた職員団体の役員としてもつぱら従事する場合は、この限りではない。
5 第1項ただし書きの許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、・・・
この休職が、在籍専従(職員団体専従)による職専免に該当します。組合に専従する場合などですね。
修学部分休業も職専免?なんとなくわかってきたぞ!
修学部分休業とは、公務に支障がない限り、1日の中で部分的に、大学などに行く休業時間をとることです。この休業取得時間が認められれば、職専免に該当します。
法的根拠
地方公務員法26条の2(修学部分休業)
・・・条例で定めるところにより、当該職員が、大学その他の条例で定める教育施設における修学のため、当該修学に必要と認められる期間として条例で定める期間中、1週間の勤務時間の一部について勤務しないことを承認することができる。
また、条例としては、本県では「職員の修学部分休業に関する条例」がありました。
高齢者部分休業も職専免。もうわかってきましたね。
高齢者部分休業とは、公務に支障がない限り、1日の中で部分的に、地域ボランティア活動などの地域貢献や、加齢に伴う諸事情への対応のための休業時間を取ることです。この休業時間が認められれば職専免に該当します。
法的根拠
地方公務員法26条の3(高齢者部分休業)
・・・定年退職日までの期間中、1週間の勤務時間の一部について勤務しないことを承認することができる。
これに関する本県の条例は「職員の高齢者部分休業に関する条例」がありました。
修学部分休業と、高齢者部分休業は、勤務時間にかかわる「部分休業」ですから、職務専念義務は免除されますが、給料はその分減額になるのですよ。
自己啓発等休業。これも職専免になります。
自己啓発等休業
自己啓発等休業とは、大学課程の履修や国際貢献活動などを認める休業制度のことです。
これが認められれば職専免に該当します。
法的根拠
地方公務員法26条の5(自己啓発等休業)
2 自己啓発等休業をしている職員は、自己啓発等休業を開始した時就いていた職又は自己啓発等休業の期間中に異動した職を保有するが、職務に従事しない。
配偶者同行休業。これも職専免。
配偶者同行休業
配偶者同行休業とは、職員の配偶者が外国での勤務になった場合など、その国で生活を共にするための休業のことです。これが認められれば職専免に該当します。
法的根拠
地方公務員法26条の6(配偶者部分休業)
条文は省略します。
自己啓発等休業と配偶者同行休業は、「休業」なので、職は保有するが、職務に従事せず、給料も支給されないのですよ。
まとめ
以上、地方公務員法に定められた、職専免に該当する場合でした。
たくさんありますね。参考になったでしょうか?
わたしは大変勉強になりました。あなたはどうですか?
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