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人事評価のポイント
人事評価のポイントは、次の2点です。
1 平成26年の地方公務員法の改正によって、新たに人事評価制度が導入された。
2 人事評価には、能力評価と業績評価がある。
地方公務員法の改正は平成26年でしたが、これに先立つものとして、平成19年成立の「国家公務員法等の一部を改正する法律」があります。(「国家公務員法の一部を改正する法律は」いくつも出されています。人事評価については平成19年のものです。)
この概要について、内閣官房が発表したものを抜粋してみます。
国家公務員法当改正法の概要
Ⅰ 目的
21世紀にふさわしい行政システムを支える公務員像を実現するため、公務員制度改革全体をパッケージとして検討を進めつつ、実現できる改革から迅速に実現し、公務員制度改革を前進させることが重要である。
このため、能力・実績主義の人事管理の徹底、再就職に関する規制の導入を内容とする法改正を行った。
Ⅱ 改正法の概要
1.能力・実績主義
(1)人事管理の原則(内容は省略します)
(2)能力本位の任用制度の確立(内容は省略します)
(3)新たな人事評価制度の構築
イ 現行の勤務成績の評定に代え、新たな人事評価制度を構築する。
ロ 職員の人事評価を「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」と定義し、公正に行わなければならないこととする。
ハ 職員の執務について、その所轄庁の長は、定期的に人事評価を実施する。
(4)分限制度
分限事由の一つである「勤務実績がよくない場合」を「人事評価又は勤務の状況に照らして、勤務実績がよくない場合」に改め、明確化する。
2.再就職に関する規則の改正等
(各府省が再就職あっせんを行うことの禁止と、その代わりに再就職あっせんを内閣府の「官民人材交流センター」が行うことが書かれています。いったいなんなんだ?内閣府だったらいいのだろうか?)
ようやく経緯がわかってきました。
最初、人事評価は東京都がやっていた(石原のころ)と思うのですが、国家公務員もそうだったのですね。
国家公務員法の改正は平成19年ですか。
地方公務員法の改正はその7年後の平成26年です。
「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」という国家公務員法の文言は、地方公務員法第6条(任命権者)の文言とまったく同じです。
これが人事評価の定義なのですね。
さらに内閣官房のHPには、「国家公務員の人事行政>人事評価」のページに次のようにあります。
<目的>
人事評価は、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎となるツールであるとともに、人材育成の意義も有しています。
また、評価の過程における評価者と被評価者との間のコミュニケーションを通じて、組織内の意識の共有化や業務改善等にも寄与するものです。
これらの効果を通じ、活力ある公務組織の実現や効率的な行政運営に資する門と考えています。
人事評価は任免、給与、分限等に活用する。
人事評価は人材育成の意義も有し、組織パフォーマンスの向上に資するものである。
<評価の種類>
人事評価は、能力評価(職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力を把握した上で行われる勤務成績の評価)及び業績評価(職員がその職務を遂行するに当たり挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価)により行う定期評価と、条件付の任用を正式なものとするか否かについての判断のために行う特別評価(能力評価により行う)の2つの方法により行われます。
いずれの評価も評価期間中の職務行動や業務の達成状況を評価基準に照らして、絶対評価で行われます。
「評価の種類」については、国家公務員法(平成19年の「国家公務員法等の一部を改正する法律」)を見たのですが、地方公務員法と同じようにまったく触れられていないのです。
どういうことなのでしょうか。
あるいは「評価の種類については別に(条例で)定める」なんてこともありません。
ということは、評価の種類はどこでどのように定められているのでしょうか?
各地方公共団体に任せられているということなのでしょうか?
いつまでも悩んでいてもしょうがないので、人事評価の条文を確認しておきます。
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地方公務員法第23条(人事評価の根本基準)
1 職員の人事評価は、公正に行われなければならない。
2 任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする。
地方公務員法第23条の2(人事評価の実施)
1 職員の執務については、その任命権者は、定期的に人事評価を行わなければならない。
2 人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は、任命権者が定める。
3 前項の場合において、任命権者が地方公共団体の長及び議会の議長以外の者であるときは、同項に規定する事項について、あらかじめ、地方公共団体の長に協議しなければならない。
地方公務員法第23条の3(人事評価に基づく措置)
任命権者は、前条第1項の人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない。
地方公務員法第23条の4(人事評価に関する勧告)
人事委員会は、人事評価の実施に関し、任命権者に勧告することができる。
第23条の2第2項に、「人事評価に必要な事項は、任命権者が定める」とあるので、評価の種類などについては、任命権者がどこかに定めているかもしれません。
また、第23条の3の「人事評価の結果に応じた措置」とは何なのでしょうか?
国家公務員法では、任命権者ではなく「所轄庁の長」とありました。
さらにおもしろいことに、次のようにも書いてありました。
国家公務員法第70条の4
2 内閣総理大臣は、勤務成績の優秀なものに対する表彰に関する事項及び成績の著しく不良なものに対する矯正方法に関する事項を立案し、これについて、適当な措置を講じなければならない。
内閣総理大臣が表彰と矯正方法を立案ですか。
いまのAにはそんな資格はあるのだろうか。
財務省から国税庁に異動した人物は、内閣官房の人事評価Sなんだろうな。
人事評価に基づく措置とは?
調べてみたら、次のようなことでした。
人事評価は能力主義、成績主義を実現するための手段であるため、昇給や昇格、研修や人材育成に活用する必要があります。
そのために、任命権者が、人事評価の結果に応じた措置を講じるということでした。
まとめ
人事評価の基本的な仕組みをまとめておきます。
評価の方法・・・能力評価及び業績評価の2本立てで実施する。
評価基準の明示・・・評価項目、基準、実施方法等を明示する。
評価者訓練・・・各評価者への研修等を実施する。
自己申告・・・被評価者が自らの業務遂行状況を振り返り自己申告を実施する。
面談・・・評価者と被評価者が話し合い、目標設定やフィードバックを実施する。
結果の開示・・・結果を被評価者に示し、今後の業務遂行に当たっての指導・助言を実施する。
苦情対応・・・評価に関する苦情に対応する仕組みを整備する。
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