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育児短時間勤務とは?
育児休業法の基本は全項目で一通り見てきましたが、ほかにも重要なことがあるのです。
管理職としては必須事項のようですので、詳しく見てみましょう。
育児短時間勤務とは?
「育児短時間勤務」は、育児休業法に定められているもので、育児休暇を終了した後に子を養育するために認められる勤務形態です。
(育児短時間勤務の承認)
・職員は小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため、当該子がその始期に達するまで、常時勤務を要する職を占めたまま、次のいずれかの勤務形態により勤務することができる。
(育児休業法10条)
育児休業法に書かれている「勤務形態」は、ちょっとわかりにくいので、条例で調べてみました。
・原則として1月以上1年以下の期間に限り、週当たり19時間25分、19時間35分、23時間15分、23時間15分又は24時間35分となるように勤務すること。
期間が原則1年以下ということは、子が小学校に入るまでは可能なのですから、育児短時間勤務を延長することもあるということですね。
育児短時間勤務の形態は以下のとおりです。
これに基づいて校長は勤務の割振りを行うということですね。
①週5回、1日3時間55分(週19時間35分)
②週5回、1日4時間55分(週24時間35分)
③週3回、1日7時間45分(週23時間15分)
④週3回、1日7時間45分×2+1日3時間55分(週19時間25分)
念のため、育児休業法第10条では次のようになっています。よく読んでみると上の①~④と同じであることがわかります。端数に注意してください。⑤は条例で決められている都道府県があるのでしょうか。
次のいずれかの勤務の形態により、当該職員が希望する日及び時間帯において勤務することができる。
①日曜日及び土曜日を週休日とし、週休日以外の日において、1日につき当該職員の1週間あたりの勤務時間(以下「週間勤務時間」)に10分の1を乗じて得た時間(4時間)勤務すること。(端数処理されています。以下同様)
②日曜日及び土曜日を週休日とし、週休日以外の日において、1日につき週間勤務時間に8分の1を乗じて得た時間(5時間)勤務すること。
③日曜日及び土曜日ならびに月曜日から金曜日までの5日間のうちの2日を週休日とし、週休日以外の日において、1日につき週間勤務時間に5分の1を乗じて得た時間(8時間)勤務すること。
④日曜日及び土曜日ならびに月曜日から金曜日までの5日間のうちの2日を週休日とし、週休日以外の日のうち2日については1日につき週間勤務時間に5分の1を乗じて得た勤務時間(8時間)、1日については1日につき週間勤務時間に10分の1を乗じて得た時間(4時間)勤務すること。
⑤前各号に掲げるもののほか、1週間あたりの勤務時間が、5分の1勤務時間に2を乗じて得た時間に、10分の1勤務時間を加えた時間から、8分の1勤務時間に5を乗じて得た時間までの範囲内の時間となるように条例で定める勤務の形態。
その他補足説明
・育児短時間勤務の承認の請求または期間の延長の請求は、育児短時間勤務承認請求書により育児短時間勤務を始めようとする日の1月前又はその期間の末日の翌日の1月前までに行うものとする。
要するに承認の請求は、希望する1月前までですね。
・任命権者は当該職員の業務を処理する措置を講ずることが困難である場合を除き、これを承認することができる。また、代替措置として非常勤の職員を任用することができる。
・育児短時間勤務が承認された場合の「給料」は、勤務する時間に応じて支給される。
・育児短時間勤務の効果及び承認の失効は、育児休暇の効果及び承認の失効の内容が準用される。
職員が教育委員会から育児短時間勤務を承認された場合の注意点
①育児短時間勤務職員に対して、正規の勤務時間が割振られていない時間に勤務を命ずることはできない。
②育児短時間勤務の内容(勤務の割振り等)を変更する場合は、1度承認を取り消し、新たに請求しなおすことになるので、1月前の請求が必要となる。
③育児短時間勤務の期間を延長する場合は、1月前までに請求する。勤務時間の形態を変更して延長することもできる。
育児短時間勤務は原則1年以下ですから、延長してもトータルで1年までですね。最初から1年で承認された場合は延長できないのですね。
④原則として育児短時間勤務終了から1年を経過していれば、再度育児短時間勤務をすることができる。
1年あいだをおけば、トータル最大2年間育児短時間勤務をできるということでしょうか。
④が、「再度の育児短時間勤務」ですね。
同様に、育児休業についても育児休業終了から1年経過していれば、「再度の育児休業」が可能なのですね。
部分休業とは?
部分休業とは?
「部分休業」も育児休業法に定められているもので、育児休暇を終了した後に子を養育するために認められ、1日の勤務時間の中の1部について勤務しないことを承認するものです。
(部分休業)
任命権者は、職員が請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、条例の定めるところにより、当該職員がその小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため1日の勤務時間の一部(2時間を超えない範囲内の時間に限る。)について勤務しないこと(以下「部分休業」という)を承認することができる。
(育児休業法19条)
補足事項
・「育児短時間勤務」等の職員は除く。
・職員は30分単位で勤務しないことを請求できる。(条例)
・給与は勤務しない時間分を減額して支給する。
・その効果及び承認の失効については、育児休業の内容を準用する。
・男女を問わず請求することができる。
・部分休業承認請求書にこの氏名等を証明する書類を添えて、部分休業を始めようとする1月前までに教育委員会に提出する。(条例)
注意点
・特別休暇の「育児休暇」を与えられている職員に対する、部分休業の承認について
特別休暇には「育児休暇」というものがあります。
内容は「生後満1年6箇月に達しない子を育てる場合、1日2回それぞれ1時間以内又は30分で合計して1日90分以内」の休暇を取れるというものです。(これは妻の場合。夫の場合は妻との合計になる)
これに対する部分休業の承認は、1日の部分休業の2時間から、当該特別休暇の時間を減じた時間を超えない範囲内で行います。
2時間(120分)-特別休暇の時間(90分以内)=部分休業の時間
となります。
部分休業は給与がないのに対し、育児休暇は特別休暇ですから、給与が出ますので重要ですね。
また、特別休暇は各都道府県で条件が違います。1歳6ヶ月は本県の場合です。労働基準法67条では1歳までとなっています。
実際にはどうなのでしょうか?
部分休業は、小学校就学前のものであるのに対し、育児休暇は1歳6ヶ月に達しない子が対象ですから、あまり重ならないのかもしれません。1歳6ヶ月の前というと、育児休業中の場合が多いかもしれません。(個人的な考えです。何かの折に調べてみます。)
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早出遅出勤務とは?
早出遅出勤務とは?
勤務時間の割振りを変更して対応する制度です。
勤務時間の割振りの権限は校長に委任されています。職員が育児や介護を請求した場合、公務の運営に支障がある場合を除き、早出遅出勤務にかかる勤務時間を、あらかじめ校長が定めて職員に周知できるのです。
育児に関する事項
対象は次のような学校職員です。
・小学校就学の始期に達するまでのこのある学校職員
・小学校に就学している子のある学校職員で、放課後等デイサービス等を行う施設にその子を出迎えるために赴く学校職員
勤務時間の設定
・始まりは午前7時以降に設定すること。
・終わりは午後10時以前に設定すること。
・公務の運営に支障がないようにすることから、授業等に支障のない範囲で設定すること。
・休憩時間は勤務時間の途中におかなければならない。
・休憩時間の前後に割振る勤務時間は、連続6時間を超えないようにすること。
子の看護のための休暇とは?
子の看護のための休暇とは?
特別休暇の中に、「子の看護のための休暇」があります。2002年から始まったものです。
内容
・小学校就学前の子が負傷または疾病のため看護を必要とする場合。
・年5日以内。子供が2人以上の場合は10日以内。継続又は断続。
まとめ
・育児関係の重要事項
育児休業
育児短時間勤務
部分休業
早出遅出勤務
特別休暇の「育児休暇」
特別休暇の「子の看護のための休暇」
・これだけあると、実際に母親になった先生が職場に復帰するときにどんな方法を取るか迷うと思います。私の場合は子供を保育所にあずけるということはなかったので、正直言うとこんなにあるとは知りませんでした。周りを見ていると、育児をしている先生で、朝ゆっくり出勤してくる先生や、放課後4時ごろ勤務を終わる先生もいるのは知っていましたが、どんな勤務状況なのかまではわかりません。
・2009年11月の「育児休業法の一部改正」により、職員の配偶者が育児休業をしている場合でも、育児休業、育児短時間勤務、育児時間(早出遅出)の承認の請求ができるようになりました。夫も妻と同じようにできるようになったのですね。
面接のときに産休について質問されて、私はまったく答えられませんでしたが、それに答えると次は育児休業関係について質問されていたのかもしれませんね。
もっと詳しく知らないといけません。
【補足】育児関係の人事について
育児関係の人事について
(育児休業法第6条 一部省略)
(育児休業に伴う任期付採用及び臨時的任用)
任命権者は、育児休業の承認請求や延長請求があった場合に、配置換えその他の方法によって請求があった職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、その業務を処理するため、次のいずれかを行うものとする。
1 当該請求に係る期間を任期の限度として行う任期を定めた採用。
2 当該請求に係る期間を任期の限度として行う臨時的任用。1年を超えて行うことはできない。
臨時的任用の場合は、地方公務員法第22条2~5項の規定は適用しない。
(女子教職員出産に際しての補助教職員の確保に関する法律第3条)(この法律を産休法という)
公立の学校に勤務する女子教職員が出産することとなる場合においては、任命権者は、出産予定日の6週間前の日から産後8週間(条例でこれより長い期間の場合あり)を経過する日までの期間又は当該女子教職員が産前の休業を始める日から、当該日から起算して14週間を経過する日までの期間のいずれかの期間を任用の期間として、当該学校の教職員の職務を補助させるため、校長以外の教職員を臨時的に任用するものとする。
(同第4条)
前条の規定による臨時的任用については、地方公務員法第22条2~5項の規定は適用しない。
職員が1月以上の長期にわたり勤務を欠く場合、6月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。任用は更新できるが1度に限られる。(地方公務員法22条)
本県の場合のその他の注意事項です。
・臨時的任用は、休職、産休、育休の代替教員を任用する場合の産休等臨時任用と、本務欠員の補充を行う場合の期限付き臨時任用の2つがある。
・非常勤講師の任用の方が適切である場合は、非常勤講師で対応する。
・平成20年度から、体育担当教員の妊娠や特別支援学校教員の妊娠に対して、身体的負担の軽減措置として、非常勤講師を任用できることになった。
・任用期間は妊娠判明時から産前休暇前日までの期間で、1月を加減とする連続する期間となっている。
・中高の学校では体育実技の時間、特別支援学校では体育実技及び体育実技と同等の身体的負担を生ずる授業の時間に限られる。
・時間数は、1週15時間を上限とする。
・非常勤講師が授業を行う場合でも、妊娠中の教員は必要な指示を与えるなど職務に従事することになっている。
私が勤務していた学校でも、この制度により非常勤講師になった先生がいます。妊娠中の先生が産前休暇に入った日から、続いて常勤講師となりました。
臨時的任用は、条件付き採用と間違いやすく、人事のところでもう一度取り上げようと思います。
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