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新「教育長」の位置づけとは?
教育長とはどんな職なのか
教育委員会の法的根拠について、前回まとめましたが、あなたは理解できたでしょうか?
今回は、教育長について詳しく調べたいと思います。
教育委員会の組織
教育委員会の組織
地教行法3条(組織)
教育委員会は、教育長及び4人の委員をもつて組織する。ただし、条例で定めるところにより、都道府県もしくは市又は地方公共団体の組合のうち都道府県もしくは市が加入するものの教育委員会にあっては教育長及び5人以上の委員、町村または地方公共団体の組合のうち町村のみが加入するものの教育委員会にあっては教育長及び2人以上の委員をもつて組織することができる。
旧の「地教行法」では、教育委員会の委員のなかで、事務局を担当する人が「教育長」でした。委員の中から教育委員会が教育長を任命していたのです。
教育委員会の代表となる人は「教育委員長」という人がいたのです。教育委員長は教育委員の中から選挙で選ばれていました。
新しい「地教行法」では、教育委員会は教育長と4人の委員からなります。教育長は教育委員会の構成員であり代表なのです。ただし、教育委員ではありません。
あなたは旧と新の違いがわかりますか?
教育長と教育委員は誰が任命するのか
教育長と教育委員の任命
地教行法4条(任命)
1 教育長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て任命する。
2 委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。
新しい教育長は、地方公共団体の長が、議会の審議を通して任命します。ですから、地方公共団体の長は、教育長の上司になります。同様に教育委員の上司にもなります。
また、地方公共団体の被選挙権を有する者、とありますが、教育委員には他の地方公共団体の住民でもなれるようです。
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教育長と教育委員の任期は何年か
教育長と教育委員の任期
地教行法5条(任期)
1 教育長の任期は3年とし、委員の任期は4年とする。ただし、補欠の教育長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 教育長及び委員は、再任されることができる。
旧の地教行法では、これまで教育委員の任期は4年でした。ですから、事務局である教育長も任期は4年でした。また教育委員長の任期は1年で、1年毎の選挙でした。
新しい地教行法では、教育委員の任期は4年のままですが、教育長の任期は3年になりました。この理由は地方公共団体の長(首長)が4年の任期中に少なくとも1回は教育長を選任する機会があるので、首長の人事構想の中に教育長人事を位置付けやすくなるからです。
地教行法11条(服務等)
4 教育長は、常勤とする。
地教行法12条
2 委員は、非常勤とする。
旧の地教行法では、委員は全員非常勤でした。代表である教育委員長も事務局担当である教育長もです。
委員には保護者も入るという規定がありますからね。
これでは責任の所在がありませんでした。
新しい地教行法になり、代表である、新「教育長」は常勤となりました。
教育長とは何をする人なのか?
地教行法13条(教育長)
教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する。
この条文により、新しい「教育長」が、教育委員会の代表であることがはっきりしました。
でも、「教育委員会の会務を総理する」とはいったい何なのでしょうか?
これには通達が出ていたようです。旧地教行法の条文で出されていました。
要するに、新教育長は、教育委員会の事務局担当も引継ぎ、代表にもなったということですね。
教育委員会の会務を総理するとは
1 教育委員会の会議を主宰すること(旧12条3項)
2 教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる(旧17条1項)
3 事務局の事務を統括し、所属の職員を指揮監督する(旧20条1項)
を意味するものであること。
「主宰」は職員会議は校長が「主宰」する、でも出てきていますね。
新地教行法では
1 教育委員会の会議は教育長が招集する(新14条1項)
なのですが、
2と3はどこにいったんだろう?
もともと事務局担当である教育長の仕事を引き継いだので、教育長の下部組織である事務局がすべて担当することでいいのかな。
まとめ
新教育長について、地教行法の主な改正点は
◎ 教育行政の責任の明確化
・教育委員長と教育長を一本化した、新たな責任者(新教育長)を設置した。
・新教育長は、首長が議会の同意を得て任命する。
・新教育長の任期は3年とする。
教育委員会の責任を明確化しなければならなくなった発端は、大津市のいじめ自殺事件でした。
この新たな教育長制度は平成27年4月に施行されましたが、機動性を発揮して地域住民の期待にこたえられる教育委員会になれるかどうか、これからが正念場です。
つづく
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