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教育公務員特例法ではどのような定めがあるのか?
教員は、地方公務員として「地方公務員法」で定められている職専免以外に、「教育公務員特例法」で定められている職専免があります。
どのような職専免でしょうか?
承認研修による職専免とは?
教育公務員特例法では、教員には常に研修に励む努力が課せられています。
教育公務員特例法21条(研修)
教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
このため、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて行う研修では、職務専念義務が免除されるのです。
教育公務員特例法22条(研修の機会)
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
「本属長」とは、その教員の属する学校の長をいいます。学校の場合に限られますね。それに対して「所属長」は教員に限らない公務員も含まれます。
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教育に関する兼職兼業従事による職専免とは?
地方公務員法では、営利企業等の従事制限(38条)が定められており、公務員は、「兼職・兼業はできない・認められない」としています。
しかし、同じ地方公務員でありながら、教員の場合は「教育に関する兼職・兼業ができる」と定められているのです。
これが職専免になるのですよ。
教育公務員特例法17条(兼職及び他の事業等の従事)
教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。
「教育に関する他の職を兼ね」とは、「兼職」のことであり、学校教育、社会教育、学術文化に関する他の職員の職を兼ねることをいいます。
「教育に関する他の事業若しくは事務に従事する」とは「兼業」のことです。
これには2種類あって、
①私立学校を経営する学校法人等の私企業の役員になる場合(事業に従事)
②公立学校の教員が国立又は私立学校の教員の職を兼ねる場合(事務に従事)
が挙げられます。
地方公務員には、公共の利益の増進のために働くべきであるということから「営利企業等の従事制限」というように、公正な職務の執行が求められています。
しかし、教育公務員の場合は教育に関する兼職・兼業ができるという特例が認められています。
また、地方公務員法では、給与を受けてはならないとされていますが、教育公務員特例法では、給与を受ける、又は受けないこともできる、とされています。
教員は兼職・兼業が、特別なのですね。
でも本属長から認められていないことを、やってはいけないのですよ。
大学院修学休業による職専免とは?
教育公務員特例法26条(大学院修学休業の許可及びその要件等)
公立の小学校等の主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭又は講師で次の各号のいずれにも該当するものは、任命権者の許可を受けて、3年を超えない範囲内で年を単位として定める期間、大学の大学院の課程若しくは専攻科の課程又はこれらの課程に相当する外国の大学の課程に在学してその課程を履修するための休業をすることができる。
教育公務員特例法27条(大学院修学休業の効果)
1 大学院修学休業をしている主幹教諭等は、地方公務員としての身分を保有するが、職務に従事しない。
2 大学院修学休業をしている期間については、給与を支給しない。
この制度によって何が変わるかということについては、文部科学省が次のように説明しています。
・この制度により、教員の身分を保有したまま、大学院にフルタイムで在学することができるようになります。また、在学する大学院を選ぶことができます。
・日々の教育活動を通じて培われた問題意識について、、大学院での専門的な研究や分析に基づいて理論的・体系的に整理することにより、より高度な実践力を身につけることが期待されます。
ちなみに、この制度は平成12年に教育公務員特例法の改正で創設されました。よく平成13年からこの制度は開始されています。
そもそもは専修免許状の取得を目指すための制度になります。
自己啓発等休業と大学院修学休業制度の違いは何だろう?
「自己啓発等休業」は「地方公務員法」に定められており、「大学院修学休業制度」は、「教育公務員特例法」に定められています。
自己啓発等休業のことは、地方公務員に定められていて、大学や大学院に、職員としての身分を保有したまま職務に従事しないことを認める休業制度です。大学の場合は2年、特に必要な場合(大学院)は3年が認められています。
このようなことが地方公務員法に定められているのに、さらに「教育公務員特例法」で「大学院修学休業制度」が定められているのはなぜでしょうか。
自己啓発休業と、大学院修学休業は、大学院に修学する点において、違いは何なのだろうか?
さらに、
地方公務員法26条の4には、
「職員の休業は、自己啓発等休業、配偶者同行休業、育児休業及び大学院修学休業とする。」
とあり、さらに、
「育児休業及び大学院修学休業については、別に法律で定めるところによる。」
と書いてあるので、地方公務員にも、大学院修学休業制度があるようなのです。
その「別の法律」とは、育児休業に関しては「地方公務員の育児休業等に関する法律」だと思うのですが、大学院修学休業についてはなんという法律があるのでしょうか?
まさか教育公務員特例法のことなのでしょうか?
でも、「地方公務員法」に「別の法律で定める」とあるのですから、一般職の地方公務員にも適用される法律があると思うのです。
あなたはどう思いますか?
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