公務員制度の変遷|戦前は公務員はなかった?

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公務員制度の変遷

「公務員」という名称は、いつから使われているのでしょうか。

 

戦前には、「地方公務員」の概念がなく、都道府県の中心となる職員は、「官吏」でした。

 

 

官吏とは?

 

@国家公務員のこと。役人。官員。

 

A明治憲法下で、天皇の大権に基づいて任命され、国家に対し忠順かつ無定量の公務に服した者

 

官吏は「天皇の官吏」として高い社会的威信を与えれていました。

 

地方公共団体の職員としては、都道府県および市町村に、官吏に準じた「吏員」が置かれていましたが、、多数を占める職員は、私法上の雇用契約に基づく雇傭人、嘱託等でした。

 

「私法」とは?

 

人と人の関係を規律する法。民法、商法など。
これに対して「公法」とは、国と人との関係を規定した法。憲法、刑法、などがあります。

 

私法は当事者間の紛争を解決するための法なので違反行為はありませんが、公法には○○違反といった違反行為があります。

 

 

吏員とは?

 

地方公共団体の長の補助機関のうち、「その他の職員」以外の職員のことを指した用語。一般に公務員のことを指して用いられることもある。

 

しかし、日本国憲法93条には、次のようにあります。

 

日本国憲法93条
地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 

この条文によると、吏員は選挙で選ばれる人なのか?

 

ということは、「その他の職員」にあたる部分が一般の地方公務員と解釈できそうだ。

 

 

雇傭人とは?

 

雇員(こいん)とは、吏員の事務補助に当たる人のこと。

 

傭人(ようにん)とは、単純労務に従事する人のこと。

 

これらの人が「その他の職員」なのだろうか?

 

 

嘱託(しょくたく)とは?

 

正式の雇用関係や任命によらないで、ある業務に従事することを依頼すること。また、その依頼された人やその身分。

 

地方公務員法3条には「嘱託員」があり、臨時又は非常勤とあります。多くは定年退職後に、同じ職場で有期の契約を結んで働く特別職です。

 

また、「校医」の職はその勤務形態からして非常勤であり、嘱託的性質のものであると解されます。(嘱託員及びこれらに準ずる者の職)

 

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公務員制度の変遷|戦前は公務員はなかった?

公務員の誕生

平成18年の地方自治法改正

 

平成18年の地方自治法改正により、「吏員」と「その他の職員」の区分が廃止されました。

 

「事務吏員」と「技術吏員」の区分も廃止されました。

 

そのため、「吏員」という用語はなくなり、「職員」と言うように、一本化されました。

 

 

地方公務員法では?

 

地方公務員法では、第4条に次のようにあります。

 

地方公務員法4条
この法律の規定は、一般職に属するすべての地方公務員(以下「職員」という。)に適用する。

 

つまり、地方公務員法では、平成18年よりも前から「職員」を使用していたということになります。
それもそのはず。地方公務員が制定されたのは昭和25年ですから。

 

 

戦後の「地方公務員制度」

 

戦後、日本国憲法と地方自治法の制定を受けて、主権在民の精神により、全体の奉仕者としての地方公務員すべてについての基本法と位置付けられる地方公務員法が、昭和25年12月に制定されました。

 

昭和21年  日本国憲法公布

 

昭和22年  地方自治法制定
      国家公務員法制定

 

昭和25年  地方公務員法制定
        現行地方公務員制度の枠組みの制定

 

昭和27年  地方公営企業法及び地方公営企業労働関係法制定

 

昭和40年  地方公務員法一部改正
        職員団体等規定整備

 

昭和60年  地方公務員法一部改正
        定年制施行

 

昭和63年  地方自治法一部改正
        土曜閉庁実施

 

平成に入ってからもありますが、この辺で。

 

公務員制度の変遷|戦前は公務員はなかった?

公務員は「全体の奉仕者」

公務員の「全体の奉仕者」としての性格とは?

 

日本国憲法15条(公務員の本質)
Aすべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。

 

公務員の「全体の奉仕者」としての性格は、憲法15条の規定を受けて、民主主義国家における公務員の基本理念を示したものです。

 

旧明治憲法下において、公務員は天皇の官吏として、天皇に対する無定量の絶対服従を求められていました。

 

現憲法下においては、公務員は、主権者たる国民全体の奉仕者として、一部の者のためではなく国民全体の公共的利益のために勤務することが求められています。

 

さらに、職務遂行に当たっては、全力を上げて職務に専念しなければならないことが謳われています。

 

これも公共の利益のために公務に従事するという性格から生じた必然的な規定であるといえます。

 

地方公務員法30条(服務の根本基準)
すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

 

公務員制度の変遷|戦前は公務員はなかった?

 

まとめ

 

明治憲法下 →→→ 天皇の官吏

 

日本国憲法下→→→ 全体の奉仕者
      →→→ 公共の利益の実現を目指す
      →→→ 全力を挙げての職務専念義務

 

明治時代は、帝国大学に入り、官吏になることがエリートコースでしたが、地方から出てきて帝大を卒業はしたものの夢破れて地元に戻る人も多かったそうです。

 

故郷(ふるさと)

 

兎(うさぎ)追いし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき 故郷(ふるさと)

 

如何(いか)に在(い)ます 父母(ちちはは)
恙(つつが)なしや 友がき
雨に風に つけても
思い出(い)ずる 故郷

 

志(こころざし)を はたして
いつの日にか 帰らん
山は青き 故郷
水は清き 故郷

 

 

明治新政府が設置した「大学校」の本校は、江戸時代に昌平坂学問所があった場所にありました。

 

そこは今の御茶ノ水駅から湯島聖堂を見る方向。つまりそこには東京帝国大学の前身(現東京大学)があり、東京師範学校(現筑波大学)、東京女子師範学校(現御茶ノ水女子大学)などもありました。(違ってたらごめんなさい。)

 

その時代のことを思うと、御茶ノ水駅から眺める現在の東京医科歯科大学の風景は、あこがれますね。

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