教育職員の時間外勤務とは?教員に残業手当はないのか?部活動は残業ではないのか?超勤4項目とは?

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時間外勤務とは何か?

 

時間外勤務とは?

 

時間外勤務とは、

 

・正規の勤務時間を超えて勤務させること(1週間当たり38時間45分)
・日曜日、土曜日などの週休日(勤務を要しない日)に勤務をさせること
・休日(勤務時間が割振られているが勤務を要しない日)に勤務をさせること

 

のことをいいますが、教育職員の場合は実は特別なのです。
まず次の法律があります。

 

 

時間外勤務の法的根拠

 

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法6条(教育職員の正規の勤務時間を超える勤務等)

 

1 教育職員(管理職手当を受ける者を除く。以下この条において同じ。)を正規の勤務時間(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第5条から第8条まで、第11条及び代12条の規定に相当する条例の規定による勤務時間をいう。第3項において同じ。)を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。

 

2 前項の政令を定める場合においては、教育職員の権衡と福祉を害することとならないよう勤務の実情について十分な配慮がされなければならない。

 

3 第1項の規定は、次に掲げる日において教育職員を正規の勤務時間中に勤務させる場合について準用する。

 

 一 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第14条に規定する祝日法による休日及び年末年始の休日に相当する日

 

 二 一般職の職員の給与に関する法律第17条の規定に相当する条例の規定により休日勤務手当が一般の職員に対して支給される日(前号に掲げる日を除く。)

 

 

1番の法律第5条から第8条には、勤務時間(週38時間45分)の割り振りや、週休日のことが定められています。

 

3番では、勤務時間や週休日のことを、祝日と年末年始の休日にも準用することが定められています。

政令で定める基準とは

 

政令で定める基準とは

 

そして「政令で定める基準」とは次のものですね。教育職員とは、管理職手当を受ける者を除きます。

 

公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令

 

1 教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとする。

 

2 教育職員に対し、時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむをえない必要があるときに限るものとすること。

 

 イ 校外実習その他生徒の実習に関する業務
 ロ 修学旅行その他学校の行事に関する業務
 ハ 職員会議に関する業務
 ニ 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務

 

 

なんと、知っていましたか?
教育職員については、原則として時間外勤務を命じることはできないのです。
どんな偉い人でもですね。

 

その理由は、次のようなことです。

 

 

教育職員に時間外勤務を命じることができない理由

 

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法1条(趣旨)

 

この法律は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の職務と勤務態様の特殊性に基づき、その給与その他の勤務条件について特例を定めるものとする。

 

 

教員は、仕事が授業中心に行われています。したがって、教材の準備や家庭訪問など勤務時間外に行われる場合に勤務に該当するかどうかが判断できにくいことがあります。
つまり、教員の職務と勤務形態には特殊性があるのです。

 

そのかわり次のように定められています。

 

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法3条(教育職員の教職調整額の支給等)

 

1 教育職員(校長、副校長、教頭を除く。以下この条において同じ。)には、その者の給料月額の100分の4に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。

 

2 教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない。

 

 

教職調整額とは?

 

教育職員には、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して、給料月額のの4%が「教職調整額」として支給されています。

 

したがって、あなたに時間外勤務があっても増額賃金は支給されません。すでにその分が給料に上乗せされているということなのです。

 

では一切、時間外勤務すなわち残業が校長などから命ぜられることは本当にないのでしょうか。

 

「基準を定める政令」には「原則として」とありますよね。

 

「原則として時間外勤務を命じることはできない。」

 

ここがポイントです。

 

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実は時間外勤務も命ぜられる「超勤4項目」とは

超勤4項目とは

 

「基準を定める政令」の2番にありましたね。命ぜられる場合が4つあるのです。

 

原則として時間外勤務を命ずることは避けるべきなのですが、
次の4つの場合に、職員に1日の勤務時間を超えて時間外勤務を命ずることができるのです。
この権限は校長にあります。

 

 1 生徒の実習に関する業務
 2 学校行事に関する業務
   学校行事とは、学芸的行事・体育的行事・及び修学旅行的行事をいいます。
 3 職員会議に関する業務
   原則として教職員全員が参加するものをいいます。
 4 非常災害等やむをえない場合に必要な業務

 

これら4つのことを「超勤4項目」といいます。

 

職員会議のとき、司会の教頭先生がよくいいますね。
「勤務時間を超えましたが、このまま会議を続けます。」

 

これは校長先生の権限で、時間外勤務を命じたことだったのですね。
ちなみにこれは平成16年からのことで、それまでこの4つは定められていませんでした。

 

その前の平成12年には、学校教育法施行規則が改正され
職員会議は校長にとっての補助機関であることが明確になりました。
また、職員会議は校長が主宰します。「主宰する」とは管理・運営することです。

 

職員会議は教員にとって最高の議決機関ではないのですね。要注意です。

 

時間外勤務を命ずるときには配慮する事項がいくつかありますが、
ここでは省略します。

 

さて、ここで疑問がわきませんか?
あなたが土日に行っている部活動の指導はどうなるのでしょうか。

 

 

 

勤務時間外の部活動指導とは?

 

勤務時間外の部活動の指導は、超勤4項目に入っていません。
したがって、時間外勤務を命ずる場合に該当しないのです。

 

部活動指導は、教員が自発的に行っているものなのです。

 

学習指導要領では、
「生徒の自主的・自発的な参加により行われる部活動」とあり、
「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」
とあります。このことから、部活動の計画を立て、
活動時間や休養日を適切に設定することになったのです。
平成21年からのことです。
これが、練習計画書の提出を求められる理由だったのですね。

 

また、学校の管理下で行われる部活動で週休日等に4時間程度行う場合は
教員特殊業務手当が支給されますね。

 

 

まとめ

 

時間外勤務とは?

 

・正規の勤務時間を超えた勤務(1週間当たり38時間45分)
・日曜日、土曜日などの週休日(勤務を要しない日)の勤務
・休日(勤務時間が割振られているが勤務を要しない日)の勤務

 

教職調整額とは?

 

・教育職員は、残業手当が出ない。その代わり給料の100分の4を給料に上乗せする金額

 

超勤4項目とは?

 

 1 生徒の実習に関する業務
 2 学校行事に関する業務
   学校行事とは、学芸的行事・体育的行事・及び修学旅行的行事
 3 職員会議に関する業務
   原則として教職員全員が参加するものをいいます。
 4 非常災害等やむをえない場合に必要な業務

 

 この4つの時間外勤務を命ずる権限は校長にある。

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