教育公務員の政治的行為の制限|制限される範囲がちがうのです。

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地方公務員と教育公務員の「政治的行為」の違い

地方公務員と教育公務員の「政治的行為」の違い

 

政治的行為について、教育公務員と地方公務員の違いがあることはご存知ですか?

 

今回は先に教育公務員特例法から見てみましょう。

 

 

 

教育公務員特例法第18条(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)

 

1 公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。

 

2 前項の規定は、政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員法第110条第1項の例による趣旨を含むものと解してはならない。

 

 

 

なんだかよくわかりませんね。

 

この疑問を解くためには、地方公務員法を見なければなりません

 

教育公務員の政治的行為の制限|制限される範囲がちがうのです。

地方公務員法の政治的行為の制限

地方公務員法の政治的行為の制限

 

地方公務員法第36条(政治的行為の制限)

 

1 職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。

 

2 職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもって、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもって、次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域外において第1号から第3号まで及び第5号に掲げる政治的行為をすることができる。

 

 

 一 公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。

 

 二 署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。

 

 三 寄附金その他の金品の募集に関与すること。

 

 四 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体または特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。

 

 五 前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為

 

 

3 何人も前2項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし、若しくはあおってはならず、又は職員が前2項に規定する政治的行為をなし、若しくはなさないことに対する代償若しくは報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関して何らかの利益若しくは不利益を与え、与えようと企て、若しくは約束してはならない。

 

4 職員は、前項に規定する違法な行為に応じなかったことの故をもって不利益な取扱を受けることはない。

 

5 本条の規定は、職員の政治的中立性を保障することにより、地方公共団体の行政及び特定地方独立行政法人の業務の公正な運営を確保するとともに職員の利益を保護することを目的とするものであるという趣旨において解釈され、及び運用されなければならない。

 

 

 

ずいぶん長い条文ですね。

 

教育公務員の政治的行為の制限|制限される範囲がちがうのです。

 

 

 

まとめると、政党等の政治団体に関しては

 

①結成関与  ②役員就任  ③勧誘運動

 

をしてはならないこと。

 

 

 

特定の政治目的で行われる政治的行為の禁止に関しては

 

①勧誘運動  ②署名運動  ③寄附金募集

 

④ポスター等の庁舎・施設等への掲示

 

⑤上記以外で条例に定めること

 

以上5つが禁止されています。

 

④はいかなる区域でも禁止であり、

 

④以外は、職員が属する区域外であれば可能なのです。

 

 

この最後の部分が「地方公務員法第36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。」に該当する部分なのです。

 

④以外は、制限範囲が当該地方公共団体内ですが、教員の職務は国民全体に責任を負うものですから、その政治的行為の制限は、国家公務員と同じ扱いになるのです。

 

 

公務員は「全体の奉仕者」として憲法15条に定められていますが、国民に対しての責任については定められていません。

 

しかし、教育公務員は「国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任と特殊性」と教特法第1条に定められている通り、国民全体に対して責任があるのです。

 

ですから、その政治的行為の制限は、国家公務員と同じ扱いになっているのです。

 

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「国家公務員の例による」とはどうのようなことか

「国家公務員の例による」とはどうのようなことか

 

「国家公務員の例による」とは、国家公務員の法制がそのまま適用になるということです。

 

国家公務員法第102条では、

 

(1)政党又は政治的目的のために、寄附金を求めたり、受領したりすること

 

(2)公選による公職の候補者となること

 

(3)政党その他の政治団体の役員や顧問等になること

 

などを禁止しています。

 

 

 

さらに、人事院規則14-7で制限されるべき政治的行為を詳しく定めています。

 

これらについてはこのサイトの別のページでも詳しく調べているので見てくださいね。

 

政治的行為とは何なのか

 

 

 

これらの法制が教育公務員にそのまま適用されるわけですが、罰則の適用が除外されています。

 

これについても、こちらを見ていただくと詳しく調べられていますよ。

 

政治的行為の制限を違反したらどうなるか?

 

教育公務員の政治的行為の制限|制限される範囲がちがうのです。

 

まとめ

 

数年前にシチズンシップ教育がさかんに言われましたが、このところおさまってきました。

 

各学校で講演会など実施していると思いますが、実際に高校3年生がちゃんと選挙に行ったかどうかはわかりません。

 

そういうことを生徒に尋ねたりすることもなんだか政治的行為にとしてあやしいですからね。

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